コロナ禍でも着実成長のベッコフ、リニア搬送装置やTwinCATの機能を強化:FAニュース(2/2 ページ)
ドイツのBeckhoff Automation(以下、ベッコフオートメーション)は、産業向けオンライン展示会「Hannover Messe 2021 Digital Edition」(2021年4月12〜16日)でプレスカンファレンスを開催。業績などのアップデートと共に産業用PC(IPC)やI/O、リニア搬送装置などの新製品や新機能などを紹介した。
搬送用途で活用広がるXTS、Xplanarの機能強化
製品面では、新たに搬送用途で活用が広がるリニア搬送システム「XTS」への取り組みを振り返った他、“浮遊型”リニア搬送システム「XPlanar」の機能強化について紹介した。
「XTS」は、レール部にコイル、可動子に磁石を入れ、電磁力により配線なしでも可動子を動かすことができるリニア搬送システムである。EtherCATにより、レール部のコイルに流れる複雑な電気制御を実現し、可動子1つ1つを個別に高精度・高速で動かすことができるのが特徴だ。また、無配線であるためコンパクトな形状が実現でき、さらに拡張性がある点も利点となっている。
同様のコンセプトのリニア搬送システムは参入メーカーなども増えているがベッコフでは「ハードウェアやソフトウェア、磁力など、それぞれの専門家を抱え、独自で技術への深い理解のもとで開発を進めていることが特徴だ」(ベッコフ氏)としている。また、XTSの駆動についてもPCプラットフォーム上のソフトウェアを中心に行っており、ソフトウェアの組み換えで容易に動作や作業を変更することができる点も強みとして訴えた。
“浮遊型”駆動を可能としたリニア搬送システムである「XPlanar」については新たにタイル状で回転動作を行えるような機能強化を行った。「XPlanar」は、電磁力により浮遊させた可動部を、平面タイルの上に浮かべて自由に動かすことが可能な、リニア搬送システムである。
高度な電気制御技術により、精密な位置決めを可能とし、複数の可動部をぶつからないように滑らかに動かすことができる。浮遊する可動部は最大速度2m/sで移動でき、4kgの可搬質量を持つ。非接触であるため、摩耗や汚染物質の排出なども抑えられ、食品や飲料、医療機器など清浄な環境が求められる用途にも適用可能だ。従来は可動部を浮遊させたまま水平方向に回転させる動作は行えなかったが、新たに4つのタイル制御により回転動作を行える機能を強化。ワークの向きを合わせて撮影する動作や、液体の攪拌動作などを「XPlanar」上で行えるようにした。
顧客ニーズに合わせTwinCATの機能を強化
PCベース制御技術「TwinCAT」では、顧客ニーズに合わせたさまざまな機能強化を実施した。従来はWindowsベースだったが、新たにBSD(Berkeley Software Distribution)に対応し、より幅広いプラットフォームへの対応を進めることで、ソースの開示ニーズへも対応する姿勢を示した。
TwinCAT上でリソース配分を示しPLCの性能を追い込める「PLC Profiler」や、ECADとの連動を実現する「XCAD」、ドキュメントを自動生成する「DocGen」、稼働情報と映像情報をリンクして記録する機能なども追加した。今後はワンステップでクラウド連携が可能な「TwinCAT Cloud Engineering」などを用意する計画を示している。その他、産業用PCでは従来はIntel製CPUを中心としてきたが、新たにAMD Ryzen対応のラインアップを用意した。
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