東芝の社長に綱川氏が再登板、電撃辞任の車谷氏は「再生ミッションやり切った」:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
東芝は2021年4月14日、同社 代表執行役社長 CEOの車谷暢昭氏が辞任し、代わって取締役 会長を務める綱川智氏が新たな代表執行役社長 CEOに就任すると発表。同日オンライン会見を行い、辞任の経緯や今後の経営の方向性などについて説明した。
「東芝は縮小過程から抜け新たなる成長過程の入り口に立っている」
再び経営トップに就く綱川氏は「車谷氏の尽力により東芝は縮小過程から抜け出し、新たなる成長過程の入り口に立っている。今回の経営体制の変更は、これまで進んできた道を変更するものではなく、インフラサービスカンパニーとしての安定成長と、世界有数のCPS(サイバーフィジカルシステム)テクノロジー企業としての飛躍を目指して、着実なステップで成長の軌道に乗せ、目標の達成を目指していきたい」と述べる。また、今後の経営体制については「急速な事業環境の変化が起こる中で、マネジメントも新陳代謝が求められる。私に課せられたミッションを早期に果たし、次の世代へ引き継いでいきたい」(同氏)として、次代の経営陣への中継ぎ役となるイメージを強調した。
車谷氏は会見には参加せず、社長を辞任するに当たってのコメントが発表された。
「東証一部への復帰を果たし再生ミッションにめどがついたこともあり、2021年1月から家族と相談してきたが、いったん3年間の激務から離れて、心身ともに充電したいと考えている。CEO就任時に引き受けたミッションは、負の遺産処理、事業の選択と集中、基礎収益力強化、東証一部への復帰の4つがあり、これらをやり切って3年で再生を完了できた。従業員にとって厳しい要求も多かったと思うが、直近の全従業員アンケートでは、大企業平均より5%高い支持を得られたことは、これまでの取り組みを理解してもらえた、報われた気持ちになった。東芝は素晴らしい会社で、特に技術とそれを生み出す技術者は、世界に誇る日本の財産だ。正しく、軸をぶらさず経営すれば、東芝は10年で世界的なインフラサービス企業に、さらにはデジタル企業に大きく飛躍できると信じている」(車谷氏)
株主や従業員、顧客との信頼関係構築が喫緊の課題に
なお、今回の車谷氏の辞任は、一部株主との関係悪化や、CVCキャピタル・パートナーズからの買収提案などに影響されたものではないという。「車谷氏の個人的都合であり、取締役会による解職などもない」(永山氏)。
車谷氏が推し進めてきた東芝Nextプランなどの事業計画については「基本的な方向性は変わらないが、社会状況などに合わせて適宜見直していく。M&Aの実現性や研究開発費の入れ方などは、あらためてレビューした上で報告したい」(綱川氏)としている。また、東芝が保有するキオクシア株式についても「同社の上場に協力した上で、株主への価値還元のために売却する方針に変わりはない」(同氏)という。
綱川氏は「今回の社長交代では、株主や従業員、顧客などのステークホルダーとの信頼関係構築が喫緊の課題になるだろう。ご心配をおかけしていると思うが、しっかりと事業を進めて不安を払拭していきたい」と述べている。
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