ソニーが出願数で世界8位に上昇、2020年の欧州特許調査レポート公開:知財ニュース
欧州特許庁(EPO)は2021年3月16日、2020年のEPOへの特許申請動向を国、企業、技術別に分析したレポートを公開した。全体の出願数は18万250件で2019年と比較すると0.7%減少。日米などは出願数が減少したが、韓国と中国からの申請数は増加した。
欧州特許庁(EPO:European Patent Office)は2021年3月16日、2020年のEPOへの特許出願動向を国、企業、技術別に分析したレポートを公開した。全体の出願数は18万250件で2019年と比較すると0.7%減少した。国別に見ると日本や米国などは出願数が減少したが、対照的に韓国と中国からは増加した。
医薬品は伸び、運輸や機械系が大きく減少
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響に見舞われながらも、2020年の特許出願数は18万250件と、前年からは0.7%と比較的小規模な減少にとどまり、過去2番目の出願数を達成した。
技術別に見ると出願数が最も多かった分野は、前年比2.6%増加した「医療技術」(1万4295件)で、5G関連技術を含む「デジタルコミュニケーション技術」(1万4122件)を抜いた。前年比増加率が最も高かったのは10.2%増加した「医薬品」(8589件)で、次いで6.3%増加した「バイオテクノロジー」(7246件)が続く。
一方で「運輸」は前年比5.5%減少した他、「機械要素」は9.5%減少、「エンジン、ポンプとタービン」も16.4%減少した。COVID-19による経済状況の落ち込みを反映している可能性がある。
日本の特許出願数は減少するも3位維持
日本企業からのEPOへの特許出願数は前年比1.1%減少して2万1841件であり、出願国数別では米国の4万4293件と、ドイツの2万5954件に次いで3位だった。なお、特許認可数については、日本は前年比9.8%減の2万230件だった。
米国、ドイツ、日本の特許出願数上位3カ国はいずれも前年比で出願数が減少している。一方で中国(4位)は1万3432件で前年比9.9%増、韓国(6位)は9106件で前年比9.2%増と大きく伸ばした。
日本の特許出願数を技術別に見ると、最多は「電気機械・装置・エネルギー」の2009件で、前年比4.6%の増加となった。同分野にはクリーンエネルギーに関わる技術特許が含まれている。また、「デジタルコミュニケーション」は1243件で、前年比10.6%と世界平均の約10倍の伸びを示した。
ソニーが世界8位に上昇
企業別に特許出願数を見ると、1位はサムスン電子で3276件となった。前年は2858件で、14.6%増加した。2位はファーウェイテクノロジーズの3113件、3位がLG エレクトロニクスの2909件であった。4位以下は、クアルコム(1711件)、エリクソン(1634件)、シーメンス(1625件)、ロバート・ボッシュ(1597件)、ソニー(1477件)、ロイヤル・フィリップス(1419件)、BASF(1305件)と続く。ソニーの順位は前年9位だったが、今回は8位に上昇した。
日本企業に限定すると、1位のソニーに次いで、2位はパナソニック(792件)、3位は三菱電機(647件)となった。4位以下はキヤノン(612件)、日立製作所(582件)、東芝(419件)、三菱重工業(381件)、トヨタ自動車(373件)、NTTドコモ(372件)、リコー(362件)と続く。三菱電機は前年5位だったが、順位を上げた。
EPOで長官を務めるアントニオ・カンピノス氏はプレスリリースの中で、「(COVID-19の影響もあり)厳しい年だったが、日本の企業や発明者による特許出願は全体的に好調だった。幅広い分野における強力な研究開発インフラの回復力を示している」とコメントした。
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