パナソニックやトヨタが世界トップクラス、電池・蓄電技術の特許活動レポート:知財ニュース
欧州特許庁と国際エネルギー機関は現地時間で2020年9月22日、電池技術や蓄電技術に関する特許出願数の調査レポートを発表した。日本は全固体電池を含めたリチウムイオン電池関連の特許出願数で世界トップだった。また、電池技術の特許出願数を企業別に見ると、パナソニックやトヨタ自動車などの日本企業が多く並んだ。
欧州特許庁(EPO)と国際エネルギー機関(IEA)は2020年9月22日(現地時間)、世界中の電池技術や蓄電技術に関する特許活動を調査し、その結果をまとめたレポートを公表した。国別に見ると、全固体電池を含めたリチウムイオン電池関連の特許出願数で日本は世界トップだった。また、電池技術の特許出願数を企業別に見ると、上位にはパナソニックやトヨタ自動車などの日本企業が多く並んだ。
電池・蓄電分野の特許出願数は年平均14%増加
公表されたレポートによると、電池技術や蓄電技術分野の特許出願数は、2018年は世界全体で前年比16.6%増加した。また、同分野の特許出願数は2005年から2018年にかけて年平均で14%増えており、他の技術分野と比較すると4倍のペースで増加していたという。
リチウムイオン電池に関する国内の特許活動は活発
蓄電能力の改善を目的とした技術分野における特許活動の約90%は、リチウムイオン電池セルの改良をテーマとしていた。また、電池セルに関連する特許出願数の45%をリチウムイオン電池が占めたのに対して、鉛酸やニッケルを用いた電池セルの特許出願数はわずか7%にとどまった。
また、リチウムイオン電池に関連した特許活動は、日本において特に活発に行われたようだ。2014〜2018年にかけて、リチウムイオン電池に関する特許出願を行った申請者のうち、約41%が日本の研究者であったという。一方で、レポートでは「その国際的なリードは、国内電気自動車(EV)市場の規模拡大には繋がってい」(プレスリリースより引用)ないと述べている。レポートでは、リチウムイオン電池がEVで採用されている主要電池であるが、日本におけるEVの販売台数は世界市場の2%にとどまると指摘している。
既存の電池に比べてエネルギー密度の向上や充電時間の短縮化などが期待される、全固体電池に関する特許活動も近年活発に行われているようだ。2010年以降、同分野の特許出願数は年平均で25%の増加を遂げている。また、2014〜2018年の特許出願数を国別に見ると、全固体電池に関するパテントファミリーのうち54%を日本が占め、米国(18%)や欧州諸国(12%)がそれに続いた。
出願数トップ10社の7社が日本企業
また、2000〜2018年における電池技術に関する特許出願数を企業別に比較すると、最も出願数が多かったのはサムスン(4787件)で、パナソニック(4046件)、LGエレクトロニクス(2999件)、トヨタ自動車(2564件)がこれに続いた。出願数トップ10社のうち7社が、トップ25社のうち13社が日本企業という結果になった。
今回のレポートの結果についてEPO 長官のアントニオ カンピノス(Antonio Campinos)氏は、EVの需要の高まりなどに応えるためにも蓄電技術の革新は必要不可欠だ、と指摘した上で「特許データを見る限りでは、これらの分野では、アジア地域が圧倒的にリードしている」と総評した。
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