第4次産業革命関連の国際特許、出願数トップ10で日系企業はソニーのみ:知財ニュース
欧州特許庁は2020年12月10日(日本時間)、第4次産業革命を担う主幹技術となり得る、IoT、ビッグデータ分析、5G、AIの4分野に関する国際特許出願動向のレポートを公開した。企業別の出願数ランキングでは、ソニーが4位でトップ10にランクインし、12位のパナソニック、15位の富士通などがこれに続いた。
欧州特許庁(EPO)は2020年12月10日(日本時間)、国際特許出願動向の調査の中で、特に第4次産業革命を担う主幹技術となるIoT(モノのインターネット)、ビッグデータ分析、5G、AI(人工知能)の4分野に注目して分析したレポートを公開した。同レポートの内容は、2020年12月17日にEPOのチーフエコノミストがオンライン会議で発表する予定。
2018年の出願数は世界2位だが、年間平均増加率は鈍化
調査は2000〜2018年に出願された、IoTやビッグデータ分析、5G、AIに関連する国際特許ファミリーを対象として行った。
国別に出願数を集計すると、同調査期間中に最も出願数の多かった国は米国(全体の32%)で、日本(19%)、韓国(10%)、中国(9%)がそれに続くという結果になった。なお、2018年に限定して国際特許出願数を見てみると、米国が1万1927件、日本が6679件、中国が6307件、韓国が4370件であった。これらの指標において、日本が米国に続く数値を獲得していることから、レポートサマリーは「第4次産業革命技術の国際特許出願において、世界をリードする国の1つである」と指摘している。
一方で、同調査期間における国際特許出願数の年間平均増加率は、日本は15.8%で、中国(39.3%)、韓国(25.2%)、米国(18.5%)と比較すると、低い増加率にとどまった。
企業別出願数ではソニーが4位、パナソニックが12位
企業別に見ると、2010〜2018年までの期間中で最も出願数が多かった企業はサムスンで、出願数全体の5.2%を占めた。2位以下はLGエレクトロニクス(2.9%)、クアルコム(2.7%)、ソニー(2.4%)と続く。上位20社中、ソニー以外の日本企業は、12位にパナソニック(1.2%)、15位に富士通(1.0%)、17位に日立製作所(0.9%)、19位にNEC(0.8%)がランクインしている。また、上位20社による国際特許出願数は、同調査期間中における国際特許出願数全体の33.5%を占めている。
なお、2000〜2009年までを対象とした調査では、日本企業は上位10社中5社、上位20位中では9社がランクインしていた。このことから出願数トップ層の企業にのみ注目すると、「2000〜2009年と比べて、2010〜2018年の日本企業による国際特許出願動向は、米国、韓国、中国企業の後塵(こうじん)を拝する結果となった」(プレスリリースより)という見方もできる。
EPO 長官であるアントニオ・カンピーノス(Antonio Campinos)氏は、今回のレポートについて「スマートコネクテッドデバイスや高速なワイヤレスインターネット、ビッグデータ、AIなどの技術の集まりは、世界経済を変革するとともに、製造業からヘルスケア、輸送に至るまで多くの分野に影響を与えている。また、情報通信技術の発展は、単に加速的に進んでいるだけではなく、経済の在り方をデータ主導型の経済へと大きくシフトさせる効果ももたらしている」(プレスリリースより)とコメントしている。
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