革新的な企業トップ100で日本は2位に転落、特許の「影響力」に課題か:知財ニュース(1/3 ページ)
クラリベイト アナリティクスは革新性の高い企業を選出する「Derwent Top 100 グローバル・イノベーター 2020」を発表した。国別受賞数で日本は2位に後退した。
Clarivate Analytics(クラリベイト アナリティクス)は2020年2月19日、同社が保有する特許出願データを基に知的財産(知財)・特許動向を分析し、革新性の高い企業・機関を選出する「Derwent Top 100 グローバル・イノベーター 2020」を発表した。前回の2019年は国別の受賞企業数では39社で1位になった日本だが、2020年は7社減って32社となり、39社が受賞した米国に首位を譲った。
中小企業・個人による特許取得数が増加
クラリベイト アナリティクスは情報サービス企業であるトムソン・ロイターのIP&サイエンスビジネス部門が2016年10月に独立して設立した企業だ。科学・技術分野の特許調査や分析といった事業のほか、オンラインの学術情報データベース「Web of Sciece」の運営を手掛けている。
Derwent Top 100 グローバル・イノベーターは2011年から発表されており、今回で9回目を迎える。クラリベイト アナリティクスが自社の保有する特許データを分析し、科学・技術領域において革新性の高さが認められた企業を選定する。
選定基準は直近5年間での特許・発明の取得件数である「数量」、出願件数と実際に登録された特許数との割合を占めす「成功率」、日本、米国、欧州、中国の4エリアにおける出願件数である「グローバル性」、他社の発明の中で特許が引用された頻度を表す「影響力」の4つだ。
今回の調査について、クラリベイト・アナリティクス・ジャパン IPソリューションズ日本部門代表の小島崇嗣氏は「前回の2019年までと比較して、今回の調査では大企業による出願だけでなく、規模の小さな企業や個人による特許取得件数が増加している」(小島氏)と指摘した。
「6年前の2014年と比較すると、当時の特許動向に強い影響力を及ぼしていた大企業のプレゼンスは低下している。もはや大企業が1社でイノベーションを担う時代は終わり、良いアイデアを持った新興企業と業界の垣根を越えてパートナーシップを結び、連携すべき時代に入ったということだろう」(小島氏)。
受賞した企業数を国、地域別にみると、米国が39社、日本が32社、フランスが5社、ドイツと台湾が4社、中国と韓国、スイスが3社、オランダが2社、フィンランド、アイルランド、ロシア、スウェーデン、カナダが1社という内訳になった。選定された32社の日本企業のうち、富士通、パナソニック、日立製作所、信越化学工業、ホンダ、ソニー、NEC、東芝、NTT(日本電信電話)、トヨタ自動車、オリンパスの11社は9年連続での受賞となる。また、光ファイバーや電線の製造を手掛けるフジクラは今回が初受賞となった。
日本企業の受賞社数が前回より7社減少したことについて小島氏は「近年、100位以内の入賞に必要な評価水準が上がっている。4つの選定基準の中でも特に『影響力』で高評価を獲得する海外企業が増えているようだ。一方、前回の受賞企業のうち今回選外となった9社の日本企業は『影響力』の点で海外企業に後れを取っている傾向があった」と語り、日本企業による知財活動の取り組みについて課題を示唆した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.