スパコン「富岳」をゴム材料開発に、新品時の性能が長く持続するタイヤの実現へ:材料技術
住友ゴム工業は、スーパーコンピュータ「富岳」を中核とする「令和3年度HPCIシステム利用研究課題募集」において、産業課題利用枠に採択されたことを発表した。同社が取り組むタイヤの「性能持続技術」の開発に向けて富岳を活用する。分子運動に加えて、化学変化まで表現できるゴム材料シミュレーション技術の実現を目指す。
住友ゴム工業は2021年3月9日、同日から学術および産業分野への共用が開始されたスーパーコンピュータ「富岳」を中核とする「令和3年度HPCI(革新的ハイパフォーマンスコンピューティングインフラ)システム利用研究課題募集」において、産業課題利用枠に採択されたことを発表した。
ゴム材料シミュレーションにスパコン「富岳」を活用
富岳を計算機資源として利用することで、同社独自のタイヤ新材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN」をさらに進化させ、今後進展するCASE(コネクテッド、自動運転化、シェアリング/サービス、電動化)やMaaS(Mobility-as-a-Service、自動車などをサービスとして利用すること)といったモビリティ社会への貢献を加速させるという。
ADVANCED 4D NANO DESIGNは、タイヤの相反性能である低燃費性能、グリップ性能、耐摩耗性能を高次元で両立させるために、分子レベルでゴムの内部構造を連続的かつ鮮明に解析し、シミュレーションすることが可能な技術である。
現在、同社は次世代のタイヤ開発および周辺サービス展開を見据えた技術革新コンセプト「SMART TYRE CONCEPT」を掲げ、摩耗や経年による性能低下を抑制し、新品時の性能を長く持続させる「性能持続技術」の実現を目指している。
この性能持続技術を実現するためには、タイヤ使用時にゴムの中で起こっている分子レベルの化学変化を正確に理解し、制御することが重要となる。既に同社は、より詳細な分子の構造を考慮した分子運動の表現手法を確立・論文発表しており、今後、富岳を活用することで、分子運動の表現に加えて、化学変化まで表現できるゴム材料のシミュレーション技術を実現させる予定だとする。
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