NXPが「CC-Link IE TSN」のサポートを発表、産業用途でのTSN対応を強化:組み込み開発ニュース
NXP Semiconductors(以下、NXP)は2021年2月25日、産業用ネットワークである「CC-Link IE TSN」をサポートすることを発表した。NXPでは、Time-Sensitive Networking(TSN)対応のポートフォリオを強化することで産業用領域の強化を狙う方針だ。
NXP Semiconductors(以下、NXP)は2021年2月25日、産業用ネットワークである「CC-Link IE TSN」をサポートすることを発表した。NXPでは、Time-Sensitive Networking(TSN)対応のポートフォリオを強化することで産業用領域の強化を狙う方針だ。
TSNは、イーサネットをベースにしながら時間の同期性を保証しリアルタイム性を確保できるようにしたネットワーク規格である。特徴として、物理層などはそのままに、時刻同期や優先的に通すデータを制御する機能などを加えることができ、リアルタイム性の確保が可能である点などがある。
NXPでは、TSNに対応するプロセッサとして主に車載用途を想定したTSNスイッチ向けの「SJA1105T」を展開してきたが、産業用途でのラインアップを拡充。既に量産中の産業向けプロセッサの「Layerscape LS1028A」に加え、量産を開始したクロスオーバーMCUの「i.MX RT1170」などを展開している。また、3月までに量産開始予定のアプリケーションプロセッサ「i.MX 8M Plus」なども用意する。
NXPでは、OSI参照モデルにおけるレイヤー2として、TSN対応を推進。NXPJapan マーケティングマネージャの浜野正博氏は「TSNはイーサネットの拡張技術であるので、基本的には標準搭載していく方向性だ」と語る。TSNは複数技術の総称となっているが、主要機能をカバーしていく方針も示す。
いち早くTSNに対応した産業用ネットワーク「CC-Link IE TSN」
これらのTSN対応強化の一環として、ドイツのport industrial automationと協力し、同社が提供する「CC-Link IE TSN」のソフトウェアスタックを実装することで、「LS1028A」と「i.MX RT1170」で、「CC-Link IE TSN」通信に対応可能とした。
「CC-Link IE TSN」は、いち早くTSN対応を行い、製品投入を行った産業用ネットワーク規格である。時分割機能により異種ネットワークを同一配線で混在させることができることから、複数ネットワークを統合する必要があるスマート工場などで期待を集めている。
「CC-Link IE TSN」を推進するCC-Link協会の事務局長である川副真生氏はNXPのサポートに対し「今後、TSN対応のさまざまな産業用ネットワークに接続可能なマルチネットワーク機器の開発促進につながる」と期待を寄せている。
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