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TSN対応のCC-Linkが登場へ、時分割で異種環境差を吸収しスマート工場化を加速産業用ネットワーク(1/2 ページ)

CC-Link協会は2018年11月21日、「CC-Link IE」の次世代を担うネットワーク規格として「CC-Link IE TSN」の仕様策定が完了したことを発表した。時分割により異なるネットワークプロトコルでも混在が可能な他、タイムスタンプを自動で付与するため、データ分析などスマート工場化を加速させる方針である。

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 CC-Link協会は2018年11月21日、「CC-Link IE」の次世代を担うネットワーク規格として「CC-Link IE TSN」の仕様策定が完了したことを発表した。時分割により異なるネットワークプロトコルでも混在させられる他、タイムスタンプを自動で付与するため、データ分析などでの効果的な活用が可能。スマート工場化を加速させるネットワーク基盤として普及を図っていく。

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「CC-Link IE TSN」の仕様策定を発表したCC-Link協会の幹事会社およびパートナー企業など(クリックで拡大)

「TSN」の意味

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CC-Link協会 事務局長の川副真生氏

 CC-Link協会 事務局長の川副真生氏は新規格について主に3つの点を訴えたいという。「1つ目は、Connected Industriesやインダストリー4.0など製造現場での情報を統合する動きが強まる中、パートナーが対応製品を開発しやすい環境を作ることが重要となり、産業用ネットワークにも変化が必要となる。従来の良さを引き継ぎながら、よりオープンなネットワークをグローバルで展開する。2つ目は、世界に先駆けて『TSN』を採用したという点である。3つ目が、製造業の新たな姿を実現する基盤となりたいということだ」(川副氏)とする。

 「TSN」とは「Time Sensitive Networking」を意味しており、イーサネットをベースにしながら時間の同期性を保証しリアルタイム性を確保できるようにしたネットワーク規格である。特徴として、物理層などはそのままに、時刻同期や優先的に通すデータを制御する機能などを加えることができ、リアルタイム性の確保が可能である点などがある。

 従来のイーサネットなどでは、通信環境などによって速度が変化し、遅延が発生していた。しかし、この状況では時刻同期性などを確保できず、モーション制御などに活用することは難しかった。そこで、リアルタイム性を確保するために独自の仕組みを入れた産業用ネットワークが使われてきた。しかし、これらが乱立したことにより、製造現場などではいくつかの産業用ネットワークが混在する状況が生まれていた。

 個々の製造ラインをそれぞれ管理すればよい従来の環境では問題なかったが、IoTなどを活用したスマート工場化の動きが加速する中で、これらのさまざまなネットワーク環境を一元的に管理できるようにするニーズが生まれてきた。これらの課題を解決するために「TSN」の機能を採用したのが「CC-Link IE TSN」となる。

 「TSN」そのものはIEEEなどでいくつかの規格で定義されるもので、まだ固まったものではないが「従来は規格などが全て固まってから動くことが多かったが、それでは世界の競争に勝てない部分もある。TSNそのものの規格内容が動いているのは事実だが、あえて時分割と時刻同期を中心として、世界に先駆けて対応した。規格の動きについては動向を見極めながら対応する」と川副氏は述べている。

「CC-Link IE TSN」により異種ネットワーク環境を混在可能に

 「CC-Link IE TSN」の大きな特徴の1つが、時分割機能により異種ネットワークを同一配線で混在させることが可能である点である。

 従来の産業用ネットワークは配線や機器などがそれぞれ必要で、同一ネットワーク上でそれぞれを混在させることができなかった。そのため複数ネットワークを同期させるなど、一元管理する必要があるときなどには大きな負担となっていた。

 「CC-Link IE TSN」では、同一ネットワーク環境内で、それぞれのネットワーク・プロトコルの情報が通る時間を規定できる。そのため、他の産業用ネットワークや、監視カメラなどでも使われるTCP/IPなどのITネットワークの情報を、同一配線で通すことができる。

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「CC-Link IE TSN」の特徴である他ネットワークとの混在のイメージ(クリックで拡大)出典:CC-Link協会

 さらに、優先的に制御するネットワークなどを規定できるために、混在環境においても、ネットワーク負荷の影響を受けずに、リアルタイム性や安定性を確保した制御通信を確保することが可能となる。

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制御通信に影響を与えず混在が可能(クリックで拡大)出典:CC-Link協会

 これにより現場の情報を簡単に一元管理できるようになる他、ビジョンと制御、セーフティなど従来個別のネットワーク環境が必要だった領域についても集約が可能となる。現場情報の活用の幅をさらに広げることが可能になるというわけである。

 CC-Link協会 テクニカル部会 部会長の有馬亮司氏は「今までは配線も情報の混在も許さない別々の環境が必要だったが、時間を分けることで混在させることができ、相互運用性を高められるさらに従来の産業用ネットワークの特徴であるリアルタイム性や信頼性、セキュリティなども確保できる。複数の異種ネットワーク環境の情報を、CC-Link IE TSNによる幹線を通すことで一元化するような使い方も可能だ。その際には既存ネットワークに手を入れる必要はない」と特徴について述べている。

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「CC-Link IE TSN」によって実現する環境のイメージ(クリックで拡大)出典:CC-Link協会

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