機能絞り込みで欠品検知に特化したAIカメラ、フクシマガリレイが改良品を展示:スマートリテール
フクシマガリレイは食品小売業界の「スーパーマーケット・トレードショー」で、Retail AIなどと共同で開発を進める設備を展示した。ショーケース上部に取り付けて欠品検知を行うAIカメラや、セルフレジ機能を搭載したスマートショッピングカートに独自の改良を加えている。
フクシマガリレイは食品小売業界の「スーパーマーケット・トレードショー」(2021年2月17〜19日、幕張メッセ)において、Retail AIなどと共同で開発を進める、スマートストア向けの設備を展示した。ショーケース上部に取り付けて欠品検知を行うAI(人工知能)カメラや、セルフレジ機能を搭載したスマートショッピングカートを紹介した。
「REAIL」の参画企業としてリテールテックを積極的に推進
AI(人工知能)など最新技術の導入により、顧客の購買体験や顧客データの取得方式に変化をもたらそうとするリテールテックの取り組みが加速している。その中でもフクシマガリレイは、トライアルホールディング(以下、トライアル)の子会社Retail AIや、サントリー酒類、日本アクセス、日本ハム、ムロオと共に「REAIL(リアイル:リテールAIプラットフォームプロジェクト)」に参画するなど、リテールテックの本格展開に向けて積極的に活動を推進している。
REAILによる活動の成果物は、Retail AIの開発したAIカメラなどと共に「スーパーセンタートライアル長沼店(以下、トライアル長沼店)」などで既に導入されている。今回の展示では、それらの成果物の内、AI(人工知能)カメラや、セルフレジ機能を搭載したスマートショッピングカートに対して、フクシマガリレイが改良を加えたものを紹介した。
AIカメラの機能を「欠品検知」に絞り込み
AIカメラについては、トライアル長沼店で使用しているものから機能を絞り込み、商品棚の欠品検知に特化したタイプのデバイスを新たに開発した。ショーケース内側上部に取り付けて商品の様子を撮影、欠品状態を画像認識技術で解析する。従来は商品棚に設置するAIカメラにも店内における顧客の動線を把握する機能などを搭載していたが、これを外すことで、AIシステムに対する処理負荷やコストの軽減を狙う。
併せて、特定の商品が売り切れて欠品した場合は、商品棚に設置したライトが点滅し、従業員に視覚的に伝える仕組みも開発した。ライトは品切れになった時間帯によって異なる色で点灯する。フクシマガリレイの担当者は「従来は店員がショーケースの状態を見回り、在庫の残個数や売れた時間帯を確認していた。しかし、確認と確認の合間の、どの時間帯で売り切れたかを把握することが難しい場合も少なくなかった。新しい仕組みによってこの問題を解決できる」と説明した。
重量センサーで、商品のスキャンし忘れを防止
スマートショッピングカートについては、かごの下部に重量センサー(ロードセル)を設置することで、カートに乗せた商品の個数を正確に把握できる仕組みを新たに搭載した。もともとスマートショッピングカートにはセルフレジ機能があり、顧客が商品外装のバーコードを専用の読み取り機でスキャンして購入金額を算出し、そのまま専用の出口ゲートを通過することで自動的に清算されるというシステムだった。
ただ、顧客がスキャンを忘れた商品をそのままカートに載せてしまう可能性もあり、個数把握の正確性には課題があった。そこで重量センサーでかごの重量変化を測定して、スキャンした商品の予想総重量と実際の重量に食い違いがある場合は、カート上のタブレット端末に「スキャンしていない商品がある」と表示して知らせる。
もう1つ、カート上のタブレット端末から弁当を直接注文できる機能も搭載した。注文は店舗内にある調理場に送信されて、従業員が調理を開始する。顧客は店内で出来立ての弁当を受け取れるという仕組みだ。従来の店舗オペレーションと比較して、弁当の需要に対して調理体制をより柔軟に変更できる。「コロナ禍で弁当や総菜を購入する中食需要が高まっており、これに対応するために開発した」(同担当者)。
協働ロボットを使った商品展示デモも
この他、会場では安川電機の協働ロボット「MOTOMAN-HC10DT」を用いて、ショーケース裏側から缶やペットボトルなど商品補充を行う省人化デモも展示されていた。協働ロボットを用いることで、店員がロボットと同時に安全に働ける空間を構築する。AGV(自動搬送車)でバックヤードから補充商品を自動的に運搬するシステムや、在庫管理システムと連携した自動発注ソリューションとの組み合わせも可能だという。
フクシマガリレイは現在、本社(大阪府大阪市)の1〜2階に、食料品や小売り分野での革新を生み出すオープンイノベーション拠点「MILAB(ミラボ)」とするなど、他社との積極的な連携を進めている。
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