スケール感の異なるモデルが混在してもシステム全体で安定したメッシュ生成/電磁界解析を実現:CAEニュース(2/2 ページ)
アンシス・ジャパンはオンライン記者説明会を開催し、高周波3次元電磁界解析ソフトウェア「Ansys HFSS」の最新バージョン「Ansys HFSS 2021 R1」に搭載された新技術「Ansys HFSS Mesh Fusion」の詳細について説明した。
新技術「Ansys HFSS Mesh Fusion」とは
Mesh Fusionを活用したHFSSによる解析アプローチは次の通りだ。
先ほどのドローンのケースで考えると、これまで、筐体/基板/パッケージの各モデルを1つの解析モデルとして扱っていたが、HFSSの「3Dコンポーネント技術」により、各モデルを部品のように読み込んで、それぞれ独立した状態を保ちながら、集合体としてHFSS上で取り扱うことができる。
この仕組みで各解析モデルを取り込むことで、それらを領域ごとに分割し、最適なメッシュ生成をそれぞれの解析モデルに対して行える。「ここに、Mesh Fusionの新たなメッシュアルゴリズムが適用されている。これにより、スケール感の異なる小さなモデルと大きなモデルが混在しても、安定して全体を解析できるメッシュが生成できる」(同社)という。また、各モデルで独立したメッシュ生成を実現することから、並列化による速度向上効果も見込めるという。
ただ、モデルごとでそれぞれ個々にメッシュを生成していくと大きな問題に直面する。それは、各モデルの境界部分でメッシュが不連続になってしまうという問題だ。「領域を分けることで、安定した最適なメッシュ生成を実現するが、その半面、どうしても領域間でメッシュが不連続になってしまう。FEMでは生成されたメッシュから大きな1つの行列を作って、Maxwellの方程式を満足するための解を求めていく。しかし、従来のソルバーのままでは、このメッシュの不連続部分をどうしても扱うことができない。この課題を解決するために、最新のFEMソルバーを用意した」(同社)。
この最新のFEMソルバーでは、メッシュの中に不連続な部分があった場合、境界部の解を繰り返し演算で収束させる手法を採用することで、これまでと同様に、高精度なFEM解析が行えるという。
「Mesh Fusionという新たな技術によって、小さなモデルと大きなモデルが混在したものでも安定したメッシュ生成が行え、精度の良い電磁界解析が行えるようになった。高密度な設計が進む中、Mesh Fusionを搭載したHFSS 2021 R1が幅広い製品開発に貢献できると確信している」(同社)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 複雑な電磁界システムの完全連成解析を支援する「Ansys HFSS Mesh Fusion」
Ansysは、大規模な設計のメッシュ生成と解析が行え、開発コスト削減と次世代製品開発の促進に貢献する「Ansys HFSS Mesh Fusion」を発表した。デザインや忠実度を損なうことなく、複雑な電磁界システムの完全連成シミュレーションを高速に実行できる。 - 次世代製品の設計に役立つシミュレーションソリューションの最新版を発表
Ansysは、シミュレーションソリューションの最新版「Ansys 2021 R1」を発表した。安全で信頼性が高く、画期的なパフォーマンスを発揮する次世代製品の設計に役立つ。 - 選べる2つのソルバー、統一感のある新UIで「Ansys Discovery」がパワーアップ
アンシス・ジャパンは、製品開発の早い段階でシミュレーションを活用し、設計プロセスの効率化、生産性向上を支援する統合シミュレーションツールの最新版「Ansys Discovery 2020R2」に関するオンライン説明会を開催した。 - 解析やコラボレーション機能を強化した工学シミュレーションソフトウェア
Ansysは、解析やコラボレーション機能を強化した最新の工学シミュレーションソフトウェア「Ansys 2020 R2」を発表した。コスト削減、生産性の向上、開発期間短縮、事業継続性の確保に貢献する高度な構想を提供する。 - 新型コロナの飛沫感染リスクをシミュレーションで検証
ANSYS(アンシス)は同社Webサイト内で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を抑制するための参考として、顧客およびパートナーによるシミュレーション結果を基にした洞察を公開した。 - ANSYSが掲げる8つのテクノロジー戦略と次世代モビリティ実現へのアプローチ
年次イベント「ANSYS INNOVATION FORUM 2019」の基調講演では、ANSYS CTOのPrith Banerjee氏が登壇し、「Simulating the Future of Mobility(モビリティの未来をシミュレーション)」をテーマに講演を行った。