新型コロナの飛沫感染リスクをシミュレーションで検証:CAEニュース
ANSYS(アンシス)は同社Webサイト内で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を抑制するための参考として、顧客およびパートナーによるシミュレーション結果を基にした洞察を公開した。
ANSYS(アンシス)は同社Webサイト内で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を抑制するための参考として、顧客およびパートナーによるシミュレーション結果を基にした洞察について公開した。
シミュレーションで飛沫感染のリスクを可視化
ソーシャルディスタンシング(社会的距離)に関する検証では、咳(せき)からの飛沫による影響をシミュレーション。1mでは、咳からの飛沫が対面する人の顔や首、衣服に付着する様子が確認できる。一方、最適とされる2m離れた場合では、飛沫が重力によって地面に引き寄せられる様子が確認でき、飛沫感染のリスクが大幅に減少できることを示していた。
また、外で運動をする際の社会的距離の検証では、同社のパートナーであるアイントホーフェン工科大学とルーベン・カトリック大学によるシミュレーション結果を紹介。目の前を走るランナーやサイクリストからの飛沫による感染を防ぐには、標準的な社会的距離のガイドラインでは不十分で、一定以上の距離を保つ必要性があることを示した。
さらに、マスクの着用効果に関するシミュレーション結果も紹介している。COVID-19の感染拡大を防ぐにはマスクの着用が有効とされるが、マスクを使用する際は適切に着用することが重要だ。ここでは、マスクが顔にフィットしていない状態とフィットしている状態を比較。シミュレーション結果を見ると、マスクが顔にフィットしていない状態では隙間から飛沫が外に広がっていく様子が確認でき、マスクが顔にフィットしている状態では飛沫をしっかりと防げている様子を確認できた。
その他、同社Webサイトではウイルスに汚染された室内を消毒する汚染除去プロセスのシミュレーションや、ワクチン製造のシミュレーション、人工呼吸器の設計/製造に関するシミュレーション、吸入と薬物送達のシミュレーションなども示されている。
なお、上記で紹介した各種シミュレーションは、特定の状況下での物理的な動作を再現するよう設計されたもので、明確な医学的根拠を示すものではなく、風や湿度などの環境変化についても考慮されたものではないとしている。
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