フェイスシールドや検査用スワブを3D技術で、Carbonが新型コロナ対策に貢献:3Dプリンタニュース
Carbonは、同社Webサイト上で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する取り組みについて報告。政府や世界中の顧客・パートナー企業からなるネットワークと協力し、フェイスシールドや検査キット用スワブの設計、臨床試験、製造を進め、高まる需要に迅速に応えるという。
米国の3DプリンタメーカーであるCarbon(カーボン)は、同社Webサイト上で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する取り組みについて報告し、情報を定期的に更新している。
WHO(世界保健機関)が「パンデミック」を宣言し、世界的に感染が拡大する中、医療現場では医師や看護師などの医療従事者が使用する個人用防護具(PPE)、検査キット、人工呼吸器などが不足し、深刻な問題となっている。
こうした状況を受け、同社は政府や世界中の顧客・パートナー企業からなるネットワークと協力し、まずフェイスシールドや検査キット用スワブの設計、臨床試験、製造を進め、高まる需要に迅速に応えていくとしている。
フェイスシールドについては、パートナー企業と協力し、迅速に製造、組み立てが可能なものを、同社独自の造形技術である「DLS(Digital Light Synthesis:デジタル光合成)プロセス」向けに設計。既にスタンフォード大学病院やカイザー病院からのフィードバックを得ており、引き続き医療現場の要求に対応していくという。
なお、同社はフェイスシールドの設計と生産指示書をオープンソース化し、アディティブマニュファクチャリング技術(同社のM2/L1プリンタ)によって世界各国で生産できるよう支援を行っている。また、同社はフェイスシールドを必要としている医療機関やケアグループ向けのリクエストフォームも用意している。
検査キット用スワブについても、同社のアディティブマニュファクチャリング技術をベースに開発を行っており、現在、複数の医療機関と提携し、いくつかのデザインパターンを用いた臨床評価が進められているという。
これらの設計・開発には、同社のラティスエンジンソフトウェアが重要な役割を果たしており、同エンジンにより生み出されたラティス(格子)構造は、材料の使用量を削減し、造形時間を短縮するだけではなく、患者と医療従事者の双方に対して、快適性と機能性をもたらすとしている。
また、同社はラティス構造を用いた設計の効果について興味のある新型コロナウイルス感染症対策プロジェクトなどに対して、設計リクエスト用の窓口(電子メール)も設けている。
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