スポーツ用品からアイウェアまで幅広く採用が進むCarbonの3Dプリント技術:日本ものづくりワールド 2020
「日本ものづくりワールド 2020」内の「第2回 次世代3Dプリンタ展(AM Japan)」に出展したディーメックのブースでは、Carbonの3Dプリント技術により生み出されたプロダクトの数々を見ることができた。
「日本ものづくりワールド 2020」(会期:同年2月26〜28日/場所:幕張メッセ)内の「第2回 次世代3Dプリンタ展(AM Japan)」に出展したディーメックのブースでは、Carbon(カーボン)の3Dプリント技術を用いた「Digital Manufacturing Platform」により生み出されたプロダクトの数々を見ることができた。
Carbonは、DLS(Digital Light Synthesis:デジタル光合成)プロセスと呼ばれる独自の造形技術と、3Dプリンタに適した形状を実現する高度なソフトウェア技術によって、製造・量産化プロセスのデジタル化をもたらすDigital Manufacturing Platformを提唱し、次世代のモノづくりを後押ししている。ブースでは、そんなDigital Manufacturing Platformのアプローチを実際に適用した最終製品として、4つのプロダクトを紹介していた。
1つ目のプロダクトは、今や非常に有名な事例となったアディダスのランニングシューズ「Futurecraft 4D」だ。ミッドソールの製造にCarbonの3Dプリント技術を活用し、量産化を実現している。格子(ラティス)形状を複雑に重ね合わせた構造のミッドソールは、従来の金型による製造では実現不可能であり、3Dプリンタでしか作り出せない有機的な形状が、ランナーの求めるクッション性や安定性、通気性などをもたらすという。
2つ目のプロダクトは、NFLのプロフットボール選手が着用するカスタムヘルメット「Riddell SpeedFlex Precision Diamond helmet」だ。アメリカンフットボール用品メーカーのRiddellとの提携で実現したもので、3Dスキャンした選手の頭部モデルをベースに、最適なラティス構造を生成し、Carbonの3Dプリンタで実現した。
3つ目は、テンプル(メガネのつる)の内側のクッション部に、Carbonの3Dプリンタで造形したラティス構造のパーツを採用するサングラス「Neuron4D」だ。これはジンズのハイエンド向けアイウェアブランド「J of JINS」の製品として実際に国内販売されたもので、ラティス構造の部位ごとに(0.1mm単位で)硬さを調整することで、快適な掛け心地や高い通気性を確保している。
そして、4つ目のプロダクトが、自転車メーカーのSpecializedとの共同開発により実現した3Dプリント製サドル「S-Works Power Saddle with Mirror Technology」だ。ラティス構造が高いクッション性と通気性、軽量化を実現するだけでなく、その構造自体が、解剖学的アプローチによりライダーの身体にフィットするよう設計され、走行時の高い安定性をもたらしてくれるという。
「今回は、既に発表済みの事例をいくつか用意する形で、Carbonの3Dプリント技術が最終製品に活用されていることを示した。国内においても間もなく新しい事例が発表できる見通しなのでぜひ期待してほしい」(Carbonの説明員)
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