次世代製品の設計に役立つシミュレーションソリューションの最新版を発表:CAEニュース
Ansysは、シミュレーションソリューションの最新版「Ansys 2021 R1」を発表した。安全で信頼性が高く、画期的なパフォーマンスを発揮する次世代製品の設計に役立つ。
Ansysは2021年1月26日、シミュレーションソリューションの最新版「Ansys 2021 R1」を発表した。安全で信頼性が高く、画期的なパフォーマンスを発揮する次世代製品の設計に役立つ。
Ansys 2021 R1は、シミュレーション技術が向上しており、膨大な計算を可能とする高いコンピューティング性能を持つ。ワークフローの簡素化と製品強化により、技術的な制限のために回避策を開発したり、設計コストやリスクを高めるワークフローに関して妥協策を講じたりする必要がなくなる。
大規模電磁界システムのシミュレーションを進化させるとともに、暗号化できるベンダーコンポーネントをシミュレーションに組み込んでいる。ベンダーは自社が権利を持つ3Dコンポーネント設計を共有し、忠実性に優れるシミュレーションを作成できる。
半導体工学では、熱機械応力やゆがみにより3D-ICパッケージが損傷する場合がある。Ansys 2021 R1が持つ3Dマルチダイシステムのシグナルインテグリティ、パワーインテグリティ、熱機械応力で包括的に解析することで、製品寿命を延ばし、信頼性を向上できる。
自動車分野では、自動運転車(AV)や電気自動車(EV)の安全分析を強化する。Ansys 2021 R1が搭載する物理ベースのリアルタイムレーダーセンサー機能と、クローズドループシミュレーションによる妥当性確認を組み合わせることで、AVの安全性を向上する。また、LiDARモデルのスキャン、回転の機能がAVシミュレーションの信頼性を高める。AUTOSAR準拠の車載ソフトウェアコンポーネントのモデリングとコード生成の柔軟性も向上し、軍用アビオニクス向けのFACE 3.0技術標準にも対応する。
EVコンポーネントの開発向けには、最適な材料を選択できるバッテリー設計ツールや、電動化コンポーネントのシステムシミュレーションを高速化するEVパワートレイン向けライブラリを備える。今回、自動車の先進運転支援システム(ADAS)にアラーム音が追加されたことで、EVの安全性が高まった。Ansys 2021 R1の新しいバッテリーモデルでは、バッテリーやモジュールのクラッシュ、冷却、くぎの貫通など多様なシナリオに取り組むことができる。
Ansys 2021 R1に導入されたAnsys Discoveryは、設計調査において性能を発揮する。流体−固体熱解析を自動で実行する機能により、流体と固体の熱挙動を簡単に予測して電子機器の冷却や熱管理をするためのデバイスを設計、評価できる。
他に、短繊維強化複合材料の射出成形シミュレーションと構造シミュレーション間の差異をなくす用途にも役立つ。
Ansys 2021 R1のリリースとともに、Ansys Cloudも進化した。シミュレーションの高速化、ワークフローの簡素化、ソルバ機能の追加により、さまざまな規模の企業がシミュレーションを利用可能になった。Ansysの流体解析、構造解析、エレクトロニクス関連製品のユーザーは、計算上の問題を迅速に、スケールアップして解決できる。
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