複雑な電磁界システムの完全連成解析を支援する「Ansys HFSS Mesh Fusion」:CAEニュース
Ansysは、大規模な設計のメッシュ生成と解析が行え、開発コスト削減と次世代製品開発の促進に貢献する「Ansys HFSS Mesh Fusion」を発表した。デザインや忠実度を損なうことなく、複雑な電磁界システムの完全連成シミュレーションを高速に実行できる。
Ansys(アンシス)は2021年1月21日(米国時間)、これまで以上に大規模な設計のメッシュ生成と解析が行え、開発コスト削減と次世代製品開発の促進に貢献する「Ansys HFSS Mesh Fusion」(以下、HFSS Mesh Fusion)を発表した。
エンジニアは、HFSS Mesh Fusionを使用することで、デザインや忠実度を損なうことなく、複雑な電磁界(EM:ElectroMagnetic)システムの完全連成シミュレーションを高速に実行できるようになる。
HFSS Mesh Fusionは「Ansys HFSS 2021 R1」で提供され、集積回路(IC)、パッケージング、コネクター、プリント基板、アンテナ、プラットフォームを組み合わせて、単一のHFSS解析ソフトウェア上で電磁界の相互作用の予測が行える。
HFSS Mesh Fusionは、コンポーネントレベルで最適なメッシュ生成手法を、コアやクラスタ間、あるいは「Ansys Cloud」(クラウド上のHPC)内で並列化して適用することが可能で、HFSSソルバーによって、完全連成されたフルウエーブ電磁界マトリクスを抽出できる。これにより、従来よりもはるかに高度で複雑な設計の解析が可能となり、効率的に製品開発を進めることができるという。
次世代製品の開発において、イノベーションを創出するためには、より小さなフォームファクターで機能性を高めつつ、消費電力の維持や低減が求められる。そのため、設計の複雑さが増し、エンジニアはコンポーネント間やシステム全体における複雑な相互作用を解析しなければならない。
HFSS Mesh Fusionは、産業用IoT(IIoT)や5G通信、AI(人工知能)チップ、自動運転向け車載機器などに代表される、近年、設計の複雑さが増す次世代製品開発の課題を解消するもので、設計サイクルやコストを縮小し、高付加価値な製品の開発に貢献できるとする。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 設計者CAEとは何なのか
機械メーカーで3次元CAD運用や公差設計/解析を推進する筆者から見た製造業やメカ設計の現場とは。今回は設計者CAEについて考える。 - 材力とFEMをシッカリ理解して、シッカリ解析!
小難しい有限要素法を数式を使わずに解説する。まずは有限要素法の歴史を振り返り、解析の基本的な考え方を確認。 - かつてCAEを軽く見ていた設計者がその必要性について説く
かつて2次元大好き信者だった筆者が“CAEの重要性”に気が付いた経緯を踏まえつつ、話題の「設計者CAE」の基本的な考え方について解説する連載。第1回は、CAEの基礎として、その役割やメリットを紹介するとともに、設計者CAEを実践することで得られる効果について取り上げる。 - 設計者さん、解析業務の他人任せはやめましょう
カタログにひかれて買うものの、いつの間にかホコリを被ってしまうCAE。そこに潜む本当の問題とは? CAEベンダのマーケティング担当者が本音を語る。 - AIとCAE、ビッグデータの融合で匠の技は残せるのか――オムロンのチャレンジ
オムロンは1980年代からCAEの活用環境を整備してきた。さらに今、取り組もうとしているのが、ビッグデータおよびAI(人工知能)とCAEの融合だ。将来は実測とCAEを一致させることによる最適な設定などが自動で可能になるとする。さらに、この取り組みによって職人の技術を可視化して、後世に残していくことができるのではないかと考えているという。同社でCAE業務を推進するオムロン グローバルものづくり革新本部 生産技術革新センタ 要素技術部の岡田浩氏に話を聞いた。 - クラウドCAEで静解析してみよう
今回は、クラウドベースの3D CAD「Fusion 360」を使って静解析してみました。記事執筆に使っているノートPCでも動かせます。