クラウドCAEで静解析してみよう:3次元って、面白っ! 〜操さんの3次元CAD考〜(50)(1/5 ページ)
今回は、クラウドベースの3D CAD「Fusion 360」を使って静解析してみました。記事執筆に使っているノートPCでも動かせます。
この連載はここの所、隔月公開なのですが、2カ月も時間がたつとすっかり気候が変わってしまうものです。人事異動で何か新しいミッションに取り組んでいる方もいらっしゃるでしょうか?
さて、この連載は今回で50回を迎えてしまいました。始めた時には「一体いつまで続くのやら」と思っていましたが、こんなに続いたことに自分でもびっくりしております。
で、記念すべき今回は何をお題にしようかかなり悩んだのですが、やっぱり何か、3Dツールに関わることにしようと考えました。ということで、今回はクラウドベースの3D CAD「Autodesk Fusion 360」(以下、「Fusion 360」)で解析をしてみることにしました。
着々と「設計に使えるツール」へと進化するFusion 360
この連載を振り返ると、Fusion 360についてたまに紹介したことはありますが、じっくり解説したことがあまりなかったような気がしました。筆者のメインツールではありませんが、日常業務の中で、使いたいところで、しっかり使っております。
……で、これまで、解析にレンダリングにCAMという具合に次々と実装されてきました。それらの機能が十分に満足いくものかどうかは置いといて、こんなに安い(条件により実質無料ですが)のに、こんなに機能が付いていてよいのでしょうか? と思うほどでした。
かつて、筆者も非線形解析ツールのMARCをバカ高いUNIX機で動かして計算していた時代がありましたが、当時からすれば、それはまるで夢のような話です。
特に「パーツのモデリングやアセンブリを組むだけではなくて、CAEができる」ということは、Fusion 360が「3Dモデリングのツール」から「設計に使えるツール」へ進化してきているということでしょう。
既にFusion 360のCAEも触ってみたという方も多いのではないでしょうか? しかし、「触ってはみた。何となく、きれいなコンター図と変形の様子が表示された。ハイ、それっきり」という方、いらっしゃいませんか?
……というのも、3Dでのモデリングは、形の作り方さえ覚えてしまえば、勘の良い人なら、瞬く間にかなり複雑なものをモデリングしてしまうこともあります。
でも、残念ながらCAEの場合には、そういうわけにはいきません。というのも、ちゃんとした解析をするには、CAEの基本的知識はしっかり抑えておく必要があるのとともに、材料力学をはじめとする機械工学の基本的なところを抑えておかないと、仮に計算ができたとしても、その解析結果が妥当なものなのか、その解析結果を持って何をどうするのか、判断することもできないでしょう。
それらの知識は一応、大学で機械工学を専攻していれば、どなたもご存じのはずの内容です。しかし人間というのは、長い間、知識を使わなければ忘れてしまうものです。筆者自身も、MARCを扱っていた頃、結構複雑な偏微分方程式をちゃんと展開できたのですが、いまやその能力はどこへやら? となっております(トホホ)。
ただし、CAEを使うのであれば、少なくともフックの法則とか、梁(はり)の応力計算とか、穴開き平板とか基本的なところくらいは、ちゃんと手計算できるレベルであるべきだと思います。教科書に出てくるような基本的なものを手計算でできないようでは、CAEで、意味のある計算をして、なおかつ、ちゃんとその計算結果を評価することは難しいでしょう。
……と、そんな説教臭いことを言うのはこの程度にしておいて、Fusion 360で計算を始めましょう。
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