選べる2つのソルバー、統一感のある新UIで「Ansys Discovery」がパワーアップ:CAEニュース(1/2 ページ)
アンシス・ジャパンは、製品開発の早い段階でシミュレーションを活用し、設計プロセスの効率化、生産性向上を支援する統合シミュレーションツールの最新版「Ansys Discovery 2020R2」に関するオンライン説明会を開催した。
アンシス・ジャパンは2020年8月5日、製品開発の早い段階でシミュレーションを活用し、設計プロセスの効率化、生産性向上を支援する統合シミュレーションツールの最新版「Ansys Discovery 2020R2」に関するオンライン説明会を開催した。
解析に不慣れな設計者の負担を軽減する「Discovery 2020R2」
Ansys Discoveryは、GPUを用いた並列処理による圧倒的な計算スピード、CAEと3D CADのシームレスな連携を実現する統合されたモデリング機能、構造解析や流体解析、トポロジー最適化など複数の解析をサポートする統合シミュレーションツールで、「解析に不慣れな設計者の負担を軽減し、CAEを設計の早期に使ってもらうことを目指して開発したものだ」(同社 デザインビジネスユニット シニアアカウントマネージャーの中野太郎氏)。
最新のAnsys Discovery 2020R2では、これら特長に加えて、(1)選べる2つのソルバー、(2)斬新なユーザーインタフェース(以下、UI)に関するアップデートが行われた他、製品パッケージの提供形態についての見直しも行われた。
まず、製品パッケージの変更については、「Ansys Discovery 2020R1」以前は、GPUによる並列処理を用いたリアルタイムシミュレーションツール「Ansys Discovery Live」(以下、Live)、Ansysソルバーを用いたCPU処理による高忠実度シミュレーションツール「Ansys Discovery AIM」(以下、AIM)、ジオメトリ編集ツール「Ansys Discovery SpaceClaim」(以下、SpaceClaim)で構成されるAnsys Discovery製品群を、SpaceClaimのみ使用可能なモデリング用パッケージ「Ansys Discovery Essential」、LiveとSpaceClaimを使用できるシミュレーション用パッケージ「Ansys Discovery Standard」、全てのAnsys Discovery製品が使用可能な設計者向けフルパッケージ「Ansys Discovery Ultimate」の3つのパッケージで展開してきた。
最新のAnsys Discovery 2020R2では、これらの製品パッケージ構成を見直し、モデリング用パッケージ「Ansys SpaceClaim」と、設計者向けフルパッケージ「Ansys Discovery」の2つに変更。これに併せてAnsys Discoveryのロゴデザインも一新し、ツールごとにばらばらだったUIを統合することで使い勝手の向上を図った。「シミュレーションについては、従来のLiveとAIMを『Ansys Discovery』として統合させた。現段階ではAIMの全ての機能を統合できていないが、バージョンアップしながら順次AIMの機能を統合させていく方針だ」(中野氏)。
構想設計、詳細設計と段階的にシミュレーションを活用
こうした製品パッケージ構成の見直しを踏まえ、Ansys Discovery 2020R2では、Ansys Discoveryの環境において2つのソルバーを搭載。メッシュレスで計算スピードを重視した従来のGPUソルバーが使用可能な「EXPLORE」ステージと、CPU処理で高忠実度なAnsysソルバーが利用できる「ANALYZE」ステージをワンクリックで切り替えできるようになった。つまり、従来のLiveをEXPLOREステージで、AIMをANALYZEステージで利用でき、統一感のあるUI上でステージの切り替えが簡単に行えるようになったのだ。
これにより、設計者は構想設計において、形状変更に瞬時に追従してリアルタイムにシミュレーション結果を提示してくれるEXPLOREステージ上で、複数のアイデアを定性的に比較検討できる。そして、詳細設計の段階ではANALYZEステージ上で、EXPLOREステージで設定した解析条件を引き継ぎつつ、さらに細かな設定、メッシュコントロールを行うことで、絞り込んだアイデアをさらに詳細に検証するといった段階的なシミュレーション活用が行える。また、同社のフラグシップ製品「Ansys Mechanical」(以下、Mechanical)、「Ansys Fluent」(以下、Fluent)に対して、ANALYZEステージでの結果をエクスポート(転送)することが可能で、設計者CAEの結果を解析専任者へ簡単に引き継ぐことができる。
なお、Ansysソルバーによる高忠実度シミュレーションが行えるANALYZEステージを利用するには、構造解析であれば「Mechanical」、流体解析であれば「Ansys CFD」のProライセンス以上が必須となる。「これらはANALYZEステージにおけるメッシュ生成、解析計算の際に一時的に必要になる。既に解析専任者向けにライセンスを持っていれば、使用していないタイミングを見計らって、設計者がAnsys DiscoveryのANALYZEステージで解析を実行するといった運用も可能だ」(中野氏)。
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