パナソニックが通期業績見通しを上方修正、テスラ向け電池は年間39GWhに増産:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
パナソニックが2020年度第3四半期業績について説明。アプライアンス社やライフソリューションズ社、オートモーティブ社、インダストリーソリューションズ社の業績が前年同期比以上の水準まで回復。為替や非連結化の影響を除いた実質ベースの売上高は前年同期比で増収、利益も第2四半期に続き増益となった。
2021年夏にギガファクトリーの新ラインを立ち上げ
パナソニック 取締役 常務執行役員 CFOの梅田博和氏は、2019〜2021年度の中期戦略における重点取り組みのうち、固定費削減と構造的赤字事業への対策で合計1000億円の利益を生み出す経営体質の強化について「1年前倒しで達成する見通しだが、2021年度も引き続き施策を推進しさらなる利益貢献を果たす」と語る。AM社の所管する車載事業の収益改善も進展しており、2020年度の調整後営業利益で50億円まで赤字幅を圧縮し、2021年度には利益率5%を目標に取り組みを継続する。
なお、車載事業の赤字幅圧縮に貢献しているのがテスラ向け車載電池事業の黒字化だ。2020年度第2四半期から黒字化しており、「第3四半期は2桁億円の利益を稼ぎ出した。2020年度通期でも黒字になるだろう」(梅田氏)という。また、2021年夏ごろには、米国合弁工場のギガファクトリーで14本目となる新ラインを立ち上げて、年間換算の生産量を38G〜39GWhまで拡大する方針だ。さらに、新たな4680セルの開発も進めており、2021年度中に試作ラインを導入するなど施策を強化している。梅田氏は「売り上げが好調なテスラのEV(電気自動車)向けに車載電池を供給する中で、量が増えればそれに応じて合理化やコストダウンも進む。今後より強固な黒字体質になっていくだろう」と説明する。
事業ポートフォリオ改革では、2021年2月1日に太陽電池事業の生産終息を発表し、同事業の事業構造改革を完了させた。
2019年度まで赤字が続いていたテレビなどを中心とするスマートライフネットワークも「量を追わずに、高付加価値を提案する路線」(梅田氏)に転換したことで、売上高は減少しているものの黒字化を果たしている。今後懸案となるのは、コロナ禍による航空機需要の大幅な落ち込みで厳しい状況にあるCNS社のアビオニクスだが「航空機の生産、運航などの回復を見極めつつ対策を進める」(同氏)としている。
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