パナソニックが持株会社制へ移行、新社長にオートモーティブ社の楠見氏が就任へ:製造マネジメントニュース
パナソニックは社長交代人事と2022年4月をめどとする持株会社制への移行を決定したと発表した。同社 代表取締役社長兼CEOの津賀一宏氏は、2021年4月1日付でCEOと執行役員を退任し、現在、常務執行役員でオートモーティブ(AM)社 社長を務める楠見雄規氏新CEOに就任する。
パナソニックは2020年11月13日、同日開催の取締役会において、社長交代人事と2022年4月をめどとする持株会社制への移行を決定したと発表した。同社 代表取締役社長兼CEOの津賀一宏氏は、2021年4月1日付でCEOと執行役員を退任し、現在、常務執行役員でオートモーティブ(AM)社 社長を務める楠見雄規氏が新CEOに就任する。代表取締役社長に楠見氏が就任する人事も内定しており、2021年6月24日開催予定の定時株主総会および取締役会で決定される。
新たに代表取締役社長兼CEOに就任する楠見氏は現在55歳。2019年4月に新たなカンパニーとして発足したオートモーティブ社 社長に就任し、トヨタ自動車との車載電池合弁などで主導的な役割を果たした。それ以前は、オートモーティブ社の前身であるオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社の三洋電機 オートモーティブエナジー事業部長などを担当していた。
津賀氏は社長退任後は取締役会長に就任する。併せて、現会長の長榮周作氏は特別顧問となる。
8つの事業会社に分社
持株会社制への移行では、パナソニックを分割会社とする会社分割によって各事業部門を分社し、現在のパナソニックはこれら分割子会社の株式を保有する持ち株会社「パナソニックホールディングス株式会社」として上場を維持する。
現在カンパニー制の下で事業を展開する各事業部門は8つに分社される計画だ。アプライアンス(AP)社、ライフソリューションズ(LS)社、中国・北東アジア(CNA)社、US社で展開してきた、中国・北東アジア事業、ホームアプライアンス事業、空調・空質事業、食品流通事業、電気設備事業の5つの事業は1社に集約され、「パナソニック株式会社」の商号を承継する。
オートモーティブ事業は、楠見氏が主導してきたAM社の事業領域がベースとなる。スマートライフネットワーク事業の事業会社は、AP社のAVC関連事業を継承する。2017年4月に旧AVCネットワークス社を解消する際に、AVC関連事業はAP社に移管されたが再び独立することとなった。ハウジング事業は、2020年4月にLS社から本社直轄となったハウジングシステム事業部を分社する形になる。現場プロセス事業は、コネクティッドソリューションズ(CNS)社の事業を引き継いで独立する。デバイス事業は、インダストリーソリューションズ(IS)社の電池関連以外の事業がベースとなる。エナジー事業は、IS社とUS社の電池関連事業が主体となる。
本社直轄の間接部門であるプロフェッショナルビジネスサポート部門なども分社し、専門能力を生かして各事業会社の成長を支援していく。
これらの持株会社制に移行するための会社分割契約や定款変更は、2021年6月24日開催予定の定時株主総会で決議する。その後2021年10月に現行のカンパニー制を廃止して、持株会社制の組織体制を前提とした事業再編を行い、2022年4月には持株会社制への移行を完了する計画である。
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