DXのキーワードは「内製化」、クラウドネイティブ開発を支援するマイクロソフト:製造ITニュース
日本マイクロソフトは2021年2月2日、クラウド基盤である「Microsoft Azure」の戦略について発表。あらゆる産業でDXが進む中、クラウドネイティブなアプリ開発環境や支援を広げ、「内製」によるアプリ開発を訴求する。
日本マイクロソフトは2021年2月2日、クラウド基盤である「Microsoft Azure」の戦略について発表。あらゆる産業でDX(デジタルトランスフォーメーション、デジタル変革)が進む中、クラウドネイティブなアプリ開発環境や支援を広げ、「内製」によるアプリ開発を訴求する。
マイクロソフトでは、DXにおいて、顧客、社員、業務、製品の4つの切り口でのDXを推進し、データサイクルを作り出す「デジタルフィードバックループ」を訴えている。
その中で同社が推進するクラウド基盤「Microsoft Azure」では「クラウドへの移行」「アプリの変革」「クラウド導入・活用支援」の3つの柱を掲げて、クラウドの普及に取り組んでいるところだ。特にDXにおいて先進のデジタル企業を活用して企業価値を高めるためには、業務プロセスを変革し顧客価値を高める「アプリの変革」は重要な役割を果たす。
具体的には、クラウドネイティブなアプリ開発と既存アプリのモダナイズが求められているが、製造業を含む多くの企業では「IT人材やスキル不足」「委託先任せで自社内での知見がない」「クラウド活用におけるルールやガバナンスの整備が徹底されていない」などの課題を抱えている。
ただ、「アプリの変革」は、各企業の業務やビジネスに直結するために、外部に全面的に委託する形ではタイムリーな実装が難しい。そこで、日本マイクロソフトが強化するのが、各企業がこれらのアプリの開発を「内製化」する支援である。
内製化を支援する2つのプログラム
具体的に提案を進めているのが、短期実装のハッカソンを行う「Azure Light-up」と、マイクロソフトが支援に入りながら並走してクラウドネイティブ開発の実装をサポートした後、ユーザー企業が独自で開発を行えるようにする「Cloud Native Dojo」である。
「Azure Light-up」は、ユーザー企業とクラウドを知り尽くしたマイクロソフトパートナーとのハッカソンを通じ、短期間(最短3日)でモックアップまで一気に作成するとともに、ユーザー企業側の参加エンジニアの成長にもつなげられる有償プログラムである。専門家が入り、一緒にモックアップ作成まで行うことで実体験の中でクラウドネイティブ開発への知見を深められる。
「Cloud Native Dojo」は、マイクロソフトパートナーと並走しながら中長期間において実プロジェクトでアジャイル開発を実践するプログラムである。ユーザー企業が自走した開発を最終ゴールとしつつも、効率よくプロフェッショナルの知見を得られる有償プログラムである。
日本マイクロソフト 業務執行役員 Azureビジネス本部 本部長の上原正太郎氏は「クラウド時代の開発思想を考えると、自社に求められているDXを実現するには、自社内で自分事として捉え、さまざまなソリューションの形を具体化していく必要がある。インフラなど高度な技術が必要なものについては、従来通りパートナーと提供を進めていくが、より素早く自社ビジネスに直結するものを提供するには、個々でクラウドネイティブの開発を行えることが重要になる。マイクロソフトではGitHubの資産やLinkedInのベースがあるため、これらの内製化についても並走し支援するという考えだ」と語っている。
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