メンテナンス作業者向けに、ARを活用した体感型トレーニングシステムを構築:製造IT導入事例
電通国際情報サービスは、明電舎が新たに開設した体感型技術研修センター「Manabi-ya」に、メンテナンス作業者向けARトレーニングツール「バーチャルアセット」を納入した。
電通国際情報サービス(ISID)は2020年12月24日、明電舎が同年10月5日に開設した体感型技術研修センター「Manabi-ya(学び舎)」に、メンテナンス作業者向けAR(拡張現実)トレーニングツール「バーチャルアセット」を納入したと発表した。
Manabi-yaは、メンテナンス作業者の技術向上を支援するために開設した、ICTを活用した体感型技術研修センターだ。主力プログラムの1つとして、ARを活用した体感型トレーニングシステム「AR教育システム」を構築。同システムは、「バーチャルアセット」「バーチャルタッチ」「リアルアセット」のツールで構成されるが、ISIDはバーチャルアセットの製作を受託した。
バーチャルアセットツールは、Microsoftのヘッドマウントディスプレイ「HoloLens 2」と3Dゲーム開発プラットフォーム「Unity」を利用した体感型トレーニングツールとなる。受講者がHoloLens 2を通じて見る現実空間に、さまざまな機種やサイズの装置を3Dモデル化し、重ね合わせて表示する。これにより、実機と同じようにメンテナンス操作が可能なバーチャルトレーニング環境を提供する。
テキストや音声などを組み合わせたトレーニングシナリオに加え、回答選択を要するテスト形式のトレーニングシナリオも作成できる。受講者はこれをAR空間内で実行することでメンテナンス手法を効率的に学習し、自学自習を繰り返せる。
ISIDは、VR(仮想現実)技術を用いた遠隔地教育システムやMR(複合現実)技術を用いた仮想メンテナンス訓練システムなどで多数の実績を持つ、また、要件検討段階のPoC(概念実証)、開発からサポートまでをトータルに提供できることが、今回の採用ポイントになった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 海外生産立ち上げをHoloLens2で遠隔支援、武蔵精密工業のニューノーマル対応
日本マイクロソフトが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響下における中堅中小企業の事業継続に向けた支援について説明。製造業の取り組み事例として、自動車部品メーカーの武蔵精密工業が、「HoloLens2」による海外生産立ち上げの遠隔支援について紹介した。 - 海外が95%となる工業ミシンの保守に、JUKIが遠隔保守作業支援システムを導入
日立ソリューションズは、スマートフォンやスマートグラスを活用した遠隔保守作業支援システム「フィールド業務情報共有システム」をJUKIに導入し、2020年3月から稼働開始したと発表した。 - 市場は成長するが熟練技術者がいない――遠隔作業支援に期待するダイキン
フェアリーデバイセズとダイキン工業は2019年11月21日、空調機の保守点検業務などの遠隔作業支援ソリューションを共同開発すると発表した。 - ARスマートグラスで産業用機械メーカーのアフターサービスを支援
サン電子は、ARを用いたソリューションをベースとした、産業用機械メーカーのアフターサービスを支援するプラットフォームの開発に着手した。ARスマートグラスを活用し、技術の遠隔指導やアフターサービスの向上、時間短縮に役立てる。 - 3D CADで作った3Dデータを生かし切るVRとARの進化
AI(人工知能)と同じく2016年にブームを迎えたVR(仮想現実)。2017年以降、このVRが、製造業や建設業の設計開発プロセスに大きな変化を与えそうだ。AR(拡張現実)についても、「デジタルツイン」をキーワードに3D CADで作成した3Dデータの活用が進む可能性が高い。 - 「VR=仮想現実感」は誤訳!? VRの定義、「製造業VR」の現状と課題
製造業VR開発最前線 前編では、VRやAR、MRの概要、製造業向けVRの他の分野のVRとは異なる特徴、これまでの状況などを説明する。