海外が95%となる工業ミシンの保守に、JUKIが遠隔保守作業支援システムを導入:製造IT導入事例
日立ソリューションズは、スマートフォンやスマートグラスを活用した遠隔保守作業支援システム「フィールド業務情報共有システム」をJUKIに導入し、2020年3月から稼働開始したと発表した。
日立ソリューションズは2020年7月6日、スマートフォンやスマートグラスを活用した遠隔保守作業支援システム「フィールド業務情報共有システム」をJUKIに導入し、同年3月から稼働開始したと発表した。中国、ベトナム、インド、マダガスカル、パキスタンでの修理、保守作業を日本の技術者が遠隔で支援している。
同システムは、スマートフォンなどを活用して現場とオフィスの情報を共有するクラウドサービス。遠隔支援や報告書作成、作業証跡の共有などにより、業務の効率向上を支援する。
同システムを導入したJUKIは、世界185カ国でビジネスを展開。特に、工業用ミシンの約95%が海外での取引で、海外の修理サポートが重要になる。従来は海外で現地保守員が対応できなくなると、日本の技術者が現地まで赴いて対応していた。しかし、工業用ミシンの故障による生産の中断は、導入先企業の損失にもつながりかねないため、できるだけ短期間に対応する必要があった。
同社は、豊富な機能や利便性の高さを評価して同システムを採択。導入により、日本の技術者が海外の保守員を遠隔で支援したり、専用アプリを使った作業前後の映像を記録することでノウハウを共有できるようになった。移動制限や人同士の接触の制限がある場合でも、国内外で保守サービスを継続的に提供できる。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で移動が制限されるなか、社会インフラ事業などの早期再開のため、日立ソリューションズでは本システムを同年9月末までの申込企業を対象に、90日間無償で提供している。また、管理者と現場の作業員が作業内容を遠隔でクロスチェックし、作業品質の向上を実現できる機能を拡充した最新版を、同年7月7日から販売開始した。
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