スイーツ専用の食品3Dプリンタが稼働、複数食材を切り替えながらケーキを積層:3Dプリンタニュース
ナショナルデパートは、スイーツ専用の食品3Dプリンティングシステム「Topology(トポロジー)」を開発し、その試作機をバレンタインデー向け商品の製造から一部運用を開始すると発表した。
ナショナルデパートは2021年1月13日、スイーツ専用の食品3Dプリンティングシステム「Topology(トポロジー)」を開発し、その試作機をバレンタインデー向け商品の製造から一部運用を開始すると発表した。
食品3Dプリントの総合的なシステムの構築を目的に開発
同社はバター専門ブランドを展開し、多種多様なフレーバーバターを開発・製造する中、モールド(型)の製作に3Dプリンタを積極的に活用してきた。今回発表したTopologyは、モールドの製作ではなく、スイーツ自体を3Dプリントするためのもので、装置単体にとどまらず、3Dプリントに最適化するためのテクスチャ剤(増粘剤や乳化剤を調合したもの)などを含めた“食品3Dプリントの総合的なシステム”の構築を目的に開発された。
Topologyの開発には、同社が培ってきたバターの開発・製造ノウハウ、3Dプリンタ活用やテクスチャ開発の実績などが役立てられた。開発したTopologyの試作機は、2021年のバレンタインデー向け商品の製造から一部テスト稼働を開始する。
複数種類の食材を切り替えながら立体的に積層、複雑な食味を実現
Topologyの装置は、クリームやスポンジといったスイーツを形成するための複数種類の食材を格納するストレージと、食材を口金から射出する4軸アームで構成される。食材は容器に密閉された状態で機器にセットされ、機器内のポンプにより、チューブを介してアーム部分に送液され、先端の口金から射出される。
従来の食品3Dプリンタ(フードプリンタ)の多くは、食材をシリンダーに収めてピストンで押し出す構造を採用していたため、複数種類の食材を切り替えながらシームレスに射出、造形することは不可能だった。これに対し、Topologyは食材の種類ごとに独立したポンプで制御することで、継ぎ目のない射出を実現する。食材はスパウトパック(キャップ付きの袋)に密閉した状態でセットするため、食材に異物が混入するリスクなども軽減され、衛生面でも安心して利用できる。
これまでのケーキの製法では、スポンジとクリームによる積層が主流だったが、Topologyの場合、3Dプリンティングの特色を生かし、複数の食材を立体的に積層することが可能で、これまでにない複雑な食味を実現できる。なお、専用のテクスチャ剤を用いることによって、スポンジなどの固形物も粘体として送液することが可能だという。
開発したTopologyの試作機は、既に同社バターケーキの製造でも一部テスト運用されており、バターで成形したモールド内部に6種類の食材を射出できたとする。今後、課題点などを検証しながら自社製品製造での活用を目指すとしている。
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