フードプリンタで介護食を提供、レシピもデータベース化:未来医XPO
XYZプリンティングジャパンは、「未来医XPO’15」において、開発中のフードプリンタを参考展示した。パーソナル3Dプリンタの技術を基に開発した製品で、介護食の提供に応用できるという期待がある。
XYZプリンティングジャパンは、「未来医XPO’15」(2015年3月28日〜4月5日、神戸国際展示場)において、開発中のフードプリンタを参考展示した。国内で実機を一般公開するのは今回が初という。
このフードプリンタは、同社が展開するパーソナル3Dプリンタ「ダヴィンチシリーズ」に用いられている、材料を押し出して積層する技術を応用して開発された。ダヴィンチシリーズでは、熱溶解積層(FDM)方式によって溶出した樹脂材料で造形していく。一方、フードプリンタでは、熱は加えずに食材を積層する。
開発中のフードプリンタでは、クッキーやピザの生地、チョコレート、ジャムなどの食材を使用できる。操作は、フードプリンタ前面上部に設置されたAndroidベースの5インチタッチパネルで行う。食材をセットして、このタッチパネルからフードレシピを選べば、PCを使わずにクッキーやピザ、チョコレートを作成することも可能だ。ただしこのフードプリンタでは、クッキーやピザの形を作るだけで、焼く作業は別途オーブンなどを使う必要がある。
同社の説明員は、「パーソナル3Dプリンタの場合、積層ピッチで0.1mmなどの精度が求められるが、フードプリンタの精度は1mm程度で十分だ。しかし、クッキーであれば1個当たり2分程度と、素早く作成できなければならない」と語る。
フードプリンタで現在使える食材は主に菓子系になるが、魚や肉のすり身などを使えれば、介護食の提供にも応用できるという期待がある。フードレシピをデータベース化すれば、さらに応用範囲を広げられる可能性もある。「フードプリンタ部の前後に、冷却したり熱を加えたりするモジュールを組み合わせるという開発の方向性もあり得る」(同説明員)という。
このフードプリンタは2015年内の市場投入を目指して開発が進められている。ただし日本市場での発売時期は未定とのことだ。
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