トヨタ貞宝工場でローカル5Gの実証実験、MRによる遠隔作業支援を無線化:製造業IoT
トヨタ自動車は2020年12月から、愛知県豊田市の貞宝工場において、工場における生産設備の導入や入れ替えの作業性検証におけるMR(複合現実)技術の活用にローカル5Gを適用する実証実験を開始している。
トヨタ自動車は2020年12月から、工場における生産設備の導入や入れ替えの作業性検証におけるMR(Mixed Reality:複合現実)技術の活用にローカル5Gを適用する実証実験を開始している。総務省が2020年度の事業として実施している「地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」の1つになっており、請負者であるトヨタ自動車の他、キヤノン、トヨタシステムズ、ネットワンシステムズ、シャープ、エイビット、日立国際電気、ノキアソリューション&ネットワークスで構成するコンソーシアムで取り組みを進めているところだ。
実証の件名は「MR技術を活用した遠隔作業支援の実現」である。工場における生産設備の導入や入れ替えの作業性検証ではMR技術の導入が進んでいる。作業者がMR対応のヘッドマウントディスプレイを着用し、現実の工場に生産設備の3Dモデルを仮想的に配置することで、迅速かつ精度の高い検証作業が実現できるという。
一方、MRシステムで取り扱う3Dモデルはデータ量が大きいため、MRシステムとヘッドマウントディスプレイは有線で接続するのが一般的だった。このため、接続ケーブル長の限界による移動範囲や検証範囲の制限、ケーブルの取り回しにおける安全確保、MRシステム機材の移動に関わる人員確保などに課題が発生していた。
今回の実証では、高速、大容量の無線通信が可能なローカル5Gを用いて、MRシステムとヘッドマウントディスプレイの接続を有線から無線に置き換える。具体的には、トヨタ自動車の貞宝工場(愛知県豊田市)において、ローカル5Gの無線局免許(商用・実験局)を取得した上で、工場内の作業者が着用したヘッドマウントディスプレイとMR技術の活用による「生産設備の導入などに係る事前検証に関する実証」と「熟練技術者等の支援者による現場作業者への遠隔からの指導や支援に関する実証」を行う。また、工場内におけるローカル5Gの性能評価、工場内の通信特性、ハンドオーバー動作の影響評価なども実施する。
ローカル5Gで使用する周波数帯は4.7GHz帯と28GHz帯で、4.7GHz帯はSA(Stand Alone)構成と、28GHz帯はNSA(Non Stnad Alone)構成となる。総務省は2020年12月にローカル5Gの使用周波数帯としてサブ6(Sub-6)と呼ばれる6GHz以下の4.6G〜4.9GHzを追加している。今回、SA構成で運用する4.7GHz帯も拡張された帯域の一部になる。
なお、ネットワンシステムズとエイビットは2021年1月19日に本実証への参加について発表している。ネットワンシステムズの担当は、実証プロジェクトの推進、ならびに他6企業と連携した共同利用型プラットフォームの検討、電波伝搬の技術実証、電波測定などで、エイビットの担当はサブ6用ローカル5G機材の提供、電波伝搬と電波測定などの技術実証支援となっている。
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