2020年末にローカル5Gの周波数帯域が大幅拡大、非同期運用も検討が進む:モノづくり最前線レポート(1/2 ページ)
「Local 5G Summit」の講演に、第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)の事務局長を務める大村好則氏が登壇。ローカル5Gの普及促進に向けて、5GMFの地域利用推進委員会が進める取り組みや検討が進むユースケースなどについて紹介した。
2020年10月6日にリアル会場とオンラインのハイブリッドで開催された「Local 5G Summit」に、第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)の事務局長を務める大村好則氏が登壇。「ローカル5Gの最新動向について〜5GMFの取組と地域・各産業におけるユースケースの展望〜」をテーマに、ローカル5Gの普及促進に向けて、5GMFの地域利用推進委員会が進める取り組みや検討が進むユースケースなどについて紹介した。
新たに4.6G〜4.9GHzと28.3G〜29.1GHzがローカル5Gに割り当てへ
5GMFは2014年に設立された組織で、日本における第5世代移動通信システム(5G)に関する研究開発および標準化に関わる調査研究、関係機関との連絡調整などを行っている。現在は、5Gを自営無線システムとして利用するローカル5Gの地域利用、産業利用の普及、促進に取り組んでいる。会員数は個人と団体合わせて159。大村氏は「2019年に地域会員という制度を設けた。現在8つの自治体が加盟しており、ローカル5Gに対する意見を述べている」とし、ローカル5Gの活用が期待される地方の意見を加味した運営を行っている。
5Gの特徴は、超高速、超低遅延、多数同時接続の3つで表される。それぞれ、モバイルブロードバンドの高速化(eMBB)、大量のマシンタイプ通信(mMTC)、超高信頼・低遅延通信(URLLC)という形での活用が期待されている。現在の5Gネットワークは、制御信号にLTEを用いるNSA(Non-Stand Alone)方式で利用されているが、将来的には全面的に5Gに移行するSA(Stand Alone)方式に移行する見込みだ。
ローカル5Gは、地域や産業の個別のニーズに応じて、地域の企業や自治体などのさまざまな主体が、自らの建物内や敷地内においてスポット的かつ柔軟に通信ネットワークを構築できることが大きな特徴となっている。例えば、通信キャリアによるエリア展開が遅れている地域などに、自治体などが先行して独自にネットワークを構築できる。
また、使用用途に応じて必要となる性能を柔軟に設定することができ、他の場所で起きている通信障害や災害などの影響を受けにくい。自営の通信ネットワークとして用いられることも多いWi-Fiとの比較では、無線局免許に基づいてその地域におけるローカル5Gの周波数の割り当てを受けて、安定的な通信を行えるなどのメリットがある。
そのローカル5Gの周波数帯としては、4.6G〜4.9GHzおよび28.2G〜29.1GHzの利用が想定されている。28.2G〜28.3GHzについては、2019年12月に割り当てが完了して免許の受付を開始しており、「既にメーカー、自治体、大学など20件近くの申請があると聞いている」(大村氏)という。そして、2020年12月末までには、新たに4.6G〜4.9GHzと28.3G〜29.1GHzの割り当てが完了して帯域が広がるため、さらに利用が促進される環境が整うことが期待されている。
また、ローカル5Gの新たな運用法として、非同期での利用も検討されている。現在のローカル5G(28.2G〜28.3GHz)は、通信キャリアが展開する全国5GとのTDD方式による同期運用が前提となっている。ただし、ローカル5Gで想定される多様なユースケースに対応するとともに、全国5Gの同期運用に干渉を生じさせない非同期運用として「準同期TDD方式」が提案されているのだ。
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