解析結果の表示と解釈は実践に向けた最終関門!:構造解析、はじめの一歩(9)(3/3 ページ)
「構造解析」を“設計をより良いものとするための道具”として捉え、実践活用に向けた第一歩を踏み出そう。第9回は、基本的な解析を実践する上で、最終関門となる解析結果の表示と解釈について取り上げる。
コラム
2000年までは「製造大国ニッポン」「Japan as Number One」など、日本の製造業を称賛する言葉や書籍が多く登場しました。今もそうでしょうか……。
最近、師匠からある動画を紹介していただきました。テーマは「バーチャルエンジニアリング」です。とにかくこの動画をご覧ください(動画1)。
クルマが題材となっていますが、あらゆる製品に通用する動画となっています。特に欧州のクルマの開発スピードは驚異的です。そして、何よりも動画の内容が夢物語ではなく現実である、ということに驚いてしまいます。その証拠の簡単な統計データも出てきます。
米国の小学校では先進国の定義を以下のように説明するそうです。
先進国には、豊富な地下資源があります。ただし、日本を除いて。
地下資源ナシで日本を先進国に押し上げたのは他ならない製造業です。ところが経済産業省が発刊した「2020年版ものづくり白書」には、日本の製造業が重大な局面にきていることを示す以下のような文章があります。
バーチャルエンジニアリング環境の遅れは、我が国製造業のアキレス腱となりかねないと言っても過言ではない。
コロナ禍でのデジタルトランスフォーメーション(DX)をきっかけに、日本の製造業は大きく変わるかもしれません。先の動画は、以下のような希望で締めくくられています。
かつては世界一の技術力を誇り、人々を驚かせていた日本のモノづくり。決してそれがデジタルにより失われたり、否定されたりするわけではありません。これまで匠によって脈々と受け継がれてきた日本のモノづくり技術を、バーチャルエンジニアリングと融合させることで、その力を最大限に発揮していく。それこそが日本のモノづくりをあらためて世界に通用させる最有力な方法です。
(次回へ続く)
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