ヤマハ発動機が協働ロボットの試作機を公開、高精度力センサーを全軸に組み込み:協働ロボット
ヤマハ発動機は、開発中の協働ロボットの試作機を公開した。同社は早稲田大学発のロボット開発スタートアップである東京ロボティクスと協業しており、2021年内の一部ユーザーへの導入、2022年内の本格発売に向けて、両社の技術を融合した協働ロボットの開発を進めている。
ヤマハ発動機は2020年12月14日、開発中の協働ロボットの試作機を公開した。同社は同年1月に早稲田大学発のロボット開発スタートアップである東京ロボティクスへの出資および協働ロボット分野での技術供与に関する契約を締結しており、2021年内の一部ユーザーへの導入、2022年内の本格発売に向けて、両社の技術を融合した協働ロボットの開発を進めている。本格発売後は、2024年までに年間3000台の販売を計画しており、協働ロボット市場における将来的なシェア目標として10%を目指すとしている。
今回公開した試作機は、ロボットの全軸に組み込んだ高精度な力センサーによる繊細な力の検出や制御を最大の特徴としている。研磨や挿入、組み立てなどの力の制御を必要とする作業が可能であるとともに、人との干渉を即座に検出して動作を停止することにより協働ロボットに求められる安全性も確保している。
この高精度な力センサーによって実現できる2つの機能も披露した。1つは「倣いワーク」で、複雑な形状のワークに対して、その表面に倣ってロボットを動作させられるというものだ。力センサーで得た検知結果に基づいて力を制御するので、その形状に沿って動作を行うようにロボットへの教示を行う必要がない。特に、金属表面を磨くバフ掛けなどの用途で効果を発揮する。
もう1つは「力制御」である。ロボットが周辺物などに触れた際に、対象物から受ける反力や、予期せぬ外力を素早く検知し、対象物に対して適切な力をかけることができる。これにより、安全で柔軟な動作が可能になるとしている。
ヤマハ発動機は、高シェアの表面実装機の他、スカラ型ロボットや、単軸ロボット、直交ロボット、搬送用のベルトコンベヤーといった産業用ロボットを組み立て製造業向けに展開しており、開発中の協働ロボットもまずはこれらの業界に提案してくことになりそうだ。一方、製造プロセスに人が関わることが多く、協働ロボットの需要が大きいと期待されている食品、医薬品、化粧品などの非FA領域にも展開を広げていくとしている。
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