三菱パワーが金属積層造形事業を本格始動、日立工場に拠点「AM-Zone」が完成:工場ニュース
三菱パワーは、アディティブマニュファクチャリング(積層造形)事業の本格始動に向けて、特殊合金や金属粉末製造の大手であるフランスのオベール・デュバル(AD)と、金属積層造形用材料となる金属粉末の特定の組成・製造に関する技術ライセンス契約を締結したと発表した。
三菱パワーは2020年11月27日、アディティブマニュファクチャリング(AM:Additive Manufacturing、積層造形)事業の本格始動に向けて、特殊合金や金属粉末製造の大手であるフランスのオベール・デュバル(Aubert & Duval、以下AD)と、金属積層造形用材料となる金属粉末の特定の組成・製造に関する技術ライセンス契約を締結したと発表した。ガスタービンなど火力発電システム事業で培った材料技術を活用し、新しいビジネス領域の開拓を目指す。
また、AM事業の開発・製造拠点として、2020年9月に日立工場(茨城県日立市)内において「AM-Zone」を完成させたという。同所では、粉末製造装置や各種金属積層造形装置などを備え、材料となる粉末およびワイヤーの開発から金属積層造形、製品仕上げ加工に至る一貫生産が可能な体制を整えている。
「AM事業の本格始動に向けた大きな一歩になる」
三菱パワーは、金属積層造形において独自の材料技術を保有しており、使途ごとに原料素材の最適な調合を行える。金属系材料を溶解し球状の粉末を作製できるガスアトマイズシステムに独自開発した高性能ガスノズルを組み込むことで、粉末製造装置の性能を大幅に高める技術も保有している。
一方のADは、高性能合金と金属粉末を提供する欧州の代表的サプライヤーであり、航空宇宙、エネルギー、防衛などの各市場向けに信頼性の高い冶金ソリューションを提供している。三菱パワーがAM事業を展開していく上で適した協業先の条件を備えているという。
今回の協業契約により、ADが培ったAM向けの粉末組成や製造ノウハウを三菱パワーの独自技術と組み合わせることで金属積層造形に適した最適な粉末を提供できるようになり、造形製品の性能向上に大きく役立つことが期待できる。三菱パワーは「今回の契約はAM事業の本格始動に向けた大きな一歩になる」としている。
なお、日立工場内に完成したAM-Zoneでは、地域の自治体や企業と連携し、見学会などを通じてAM技術の普及と活用拡大に向けた活動を実施していく。またオンラインによる見学会の実施も開始しており、新型コロナウイルス感染症の感染リスクを負うことなく最新技術を確認できる体制も整えた。今後は、オンライン技術を活用したデジタルマニュファクチュアリングとして、遠隔操作の実現による省力化などにも取り組んでいくことを計画している。
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