GEアディティブ、量産での本格活用を視野に金属3Dプリンタのラインアップを強化:日本ものづくりワールド 2020
GEアディティブは「日本ものづくりワールド 2020」内の「第2回 次世代3Dプリンタ展(AM Japan)」に出展し、最新装置や日本で展開するサービス内容の映像紹介、造形サンプルの展示などを行った。
GEアディティブは「日本ものづくりワールド 2020」(会期:同年2月26〜28日/場所:幕張メッセ)内の「第2回 次世代3Dプリンタ展(AM Japan)」に出展し、最新装置や日本で展開するサービス内容の映像紹介、造形サンプルの展示などを行った。
量産で使える、最新金属3Dプリンタを訴求
今回の目玉の1つとしてアピールしていたのが、同社傘下であるコンセプト・レーザー製の金属3Dプリンタの最新モデル「M2シリーズ5」(2019年11月発表)だ。直接金属レーザー溶融(DMLM)方式で、最大造形サイズは245×245×350mm。アルミニウムやチタン、鉄、ニッケル、コバルトクロムといった金属材料に対応する。
「このモデルは従来機種から設計やシステム、コンポーネントを大きく見直し、アディティブマニュファクチャリングによる量産に特化した装置となっている。これまで以上の安定性と再現性の高さが売りだ」と、GEアディティブの日本統括責任者であるトーマス・パン氏は語る。
同社ブースには、「M2シリーズ5」を用いて実際に造形した航空機エンジン(GEnxエンジン)のパワードア用ブラケットを展示。素材はコバルトクロムで、アディティブマニュファクチャリングに特化した設計により、材料の廃棄ロスを従来比90%削減し、10%の軽量化を実現したという。「これはボーイング747-8に搭載されるGEnxエンジン向けに設計したもので、約10カ月間で連邦航空局(FAA)認証を取得した量産パーツだ。この量産化の実現には、装置(金属3Dプリンタ)の安定性と再現性が欠かせなかった」(パン氏)。
もう1つの目玉として紹介していたのが「Arcam EBM Spectra L」(2019年11月発表)だ。こちらもGEアディティブ傘下のArcamの製品で、大型造形と造形速度の向上が図られた電子ビーム方式の金属3Dプリンタだ。電子ビームの出力は4.5kWで、従来機種と比較して造形速度を約20%向上させている。また、グレード5/グレード23の64チタンの加工に対応し、これまで困難とされてきた大型チタン部品の加工に最適だという。造形サイズは直径350×高さ430mm。2020年中に純銅への対応も予定している。「近年、日本国内でも金属3Dプリンタによる大型造形ニーズが高まりつつある。『Arcam EBM Spectra L』はそうした要望に応える製品だ」とパン氏は述べる。
アディティブ製造の実現を支援するコンサルティングサービス
また、同社はアディティブマニュファクチャリングを活用した量産化の実現を支援するコンサルティングサービス「AddWorks」も展開している。「何をしたらいいのか」「どうやって作ればいいのか」「どのパーツを対象にすればいいのか」といった疑問に対し、体系的なプログラムを基にアディティブマニュファクチャリングを用いた量産化/アディティブ製造の導入をサポートする。
「金属3Dプリンタを用いたアディティブ製造や量産化を考えるのであれば、切削や鋳造といった従来の加工法にとらわれた設計を続けていては前に進めない。それらの代替えとして金属3Dプリンタを導入しても、アディティブの価値は発揮されない。同じものを金属3Dプリンタで作ってもコストが高くなるだけだ。そうではなく、アディティブにしか実現できない形状などを作り出して、例えば、パフォーマンスを50倍向上させるようなものを作るといったマインドにならなければ、アディティブによる真の価値発揮は難しいだろう。こうした部分のお手伝いをAddWorksでサポートしていきたい」(パン氏)
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