フルカラー&マルチマテリアル対応の「J8シリーズ」でデザインプロセスを変革:日本ものづくりワールド 2020
ストラタシス・ジャパンは「日本ものづくりワールド 2020」内の「第2回 次世代3Dプリンタ展(AM Japan)」に出展し、PolyJet方式3Dプリンタ「J8シリーズ」(Stratasys J850、同 J826)の強みであるフルカラー&マルチマテリアルの特性を生かした試作開発のアプローチを訴求していた。
ストラタシス・ジャパンは「日本ものづくりワールド 2020」(会期:同年2月26〜28日/場所:幕張メッセ)内の「第2回 次世代3Dプリンタ展(AM Japan)」に出展し、PolyJet方式3Dプリンタ「J8シリーズ」(Stratasys J850、同 J826)の強みであるフルカラー&マルチマテリアルの特性を生かした試作開発のアプローチを訴求していた。
展示ブースでは、イヤフォンケースの開発を例に、サイズや形状を確認するコンセプトデザインから、クリア素材を活用したデザイン表現の確認、さらにPANTONE認定フルカラーによるカラーバリエーションの検討、マルチマテリアルを生かした質感の再現まで、試作開発の一連の流れを多数の造形サンプルを用いて示していた。
形状や大きさを検討する初期のコンセプトデザインのタイミングでは、何よりもスピード感が求められるため、J850の高速造形「Super High Speed Mode」に対応する樹脂材料「DraftGrey」が有効だという。J850のSuper High Speed Modeは、従来機種のJシリーズ3Dプリンタと比較して約2倍の速さで造形できる。この組み合わせであれば、複数バリエーションのデザインモックアップを同時に、かつ高速に準備することが可能だ。
また、最終製品に限りなく近いイメージを確認したり、内部の機構設計を含めた詳細設計を行ったりする際は、より透明度の高いクリア素材「VeroUltraClear」(J826は2020年第2四半期ごろ対応予定)が活用できる。詳細設計を詰めるタイミングで、最終製品に近いリアルなデザインモックアップが手に入ることで、より踏み込んだ設計、デザインの検討が行える。
さらに製品展開をする上では、カラーバリエーションの検討も欠かせない。一般的な粉末焼結積層造形(SLS)方式によるカラー3Dプリンタの場合、どうしても表面がざらついてしまい、色の再現度も低くなってしまう。これに対し、同社のJ8シリーズは、PANTONE Validatedカラーに対応しているため、PANTONE指定によるフルカラープリントが可能となる。
そして、見た目だけでなく、触り心地などの質感も、フルカラー&マルチマテリアル対応のJ8シリーズであれば容易に検証できる。1つの3Dモデルに対して、部分的に質感や色を変えることができるため、最終製品に限りなく近い、リアルさを追求した最終試作が可能となる。
通常、こうした試作開発を行う場合、モックアップ製作は外注に依頼するケースが多く、多大な時間とコストが発生してしまう。スピーディーなモノづくりを実現する上でも試作開発のリードタイムをいかに短くするかがカギとなる。そうした際、J8シリーズがあれば、外注することなく、コンセプトデザインから最終試作までを一気通貫で自ら行うことができる。
その他、ストラタシス・ジャパンのブースでは、3D CAD共有プラットフォームである「GRABCAD」に関するパネル展示や、FDM(熱溶解積層方式)関連の新素材(静電耐性素材「ABS-ESD7」)の紹介などをしていた。
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