NVIDIAが買収しなかったArmのIoT事業が分社独立、「Pelion」として始動:製造業IoT
2020年11月19日、ArmがISG(IoT Service Group)で展開してきたIoTプラットフォーム「Pelion」の事業が分社独立し、活動を開始したと発表した。社名はプラットフォーム名と同じPelionである。
2020年11月19日(現地時間)、ArmがISG(IoT Service Group)で展開してきたIoT(モノのインターネット)プラットフォーム「Pelion」の事業が分社独立し、活動を開始したと発表した。社名はプラットフォーム名と同じPelionである。
PelionはArmの完全子会社として発足する。本社は、英国にあるArmとは異なり米国カリフォルニア州サンノゼに置く。Pelionの日本法人「ペリオン株式会社」も発足しており、こちらの所在地はArmの日本法人であるアーム株式会社と同じ(横浜市港北区)だ。
Armは同年7月、Pelionとトレジャーデータの2つの事業について、親会社であるソフトバンクグループと関連会社が所有および運営する新しい事業体の傘下に移管する提案を行ったと発表していたが、その後9月にNVIDIAがArmの買収を表明。その際には「今回の買収にISGは含まない」としていた。
Pelionは、さまざまなIoTデバイスを接続する「コネクテッドデバイスプラットフォーム」と、IoTデバイス上で稼働するアプリケーションの管理機能、LTE-MやNB-IoTなどのLPWA(低消費電力広域)ネットワークを含めたセルラー方式とWi-SUNなどを含めた非セルラー方式の通信接続サービスを提供する。これらは、これまでのArmのISGとしての実績として、既に世界で500以上の組織に採用されるとともに150社以上のパートナーがおり、対象となるIoTデバイスも小型の消費者向け価格帯のものから、高いセキュリティとデータ通信速度が求められる産業用グレードの機器に至るまで、柔軟に対応できるとしている。
ArmのISGにおけるIoTプラットフォームとしてのPelionは、コネクテッドデバイスプラットフォームやアプリケーションの管理機能に当たる「Pelion Device Management」(旧Mbed Cloud)の他、Armが買収したStream Technologiesの事業をベースにした通信接続サービスの「Pelion Connectivity Management」、Treasure Dataの技術をベースにしたデータ管理サービスなどから構成されていた。新たに発足したPelionの提供物にはデータ管理サービスがないことから、事業の範囲はPelion Device ManagementとPelion Connectivity Managementにとどまるようだ。また「特定のOSやネットワーク、アプリケーションに限定せず、あらゆるデバイスに対応する」(リリース文より抜粋)とあることから、Armが自社の半導体IPを用いるデバイス向けに展開していた組み込みOS「Mbed OS」や組み込みLinux「Mbed Linux OS」も、Pelionの事業として手掛けないとみられる。
Pelion CEOのHima Mukkamala氏は「5GやエッジAI(人工知能)といった大きな技術潮流が分散型インテリジェンスをけん引する中、Pelionは次なる事業成長の段階へと踏み出した。IoTが秘める変革の可能性を顧客が具現化できるよう支援することにフォーカスを絞った、より俊敏な組織として事業を開始する。これはArmのISGとして事業展開してきた中で培ったデバイスとセキュリティ、ネットワークに関する深い造詣を持つチームが一体化するというエキサイティングな節目だ。強固な顧客基盤と成熟したパートナーネットワークと協働し、IoTによるイノベーションを支えるため、デバイスにまつわる面倒事をシンプルにし信頼性の高いセキュアな基盤を提供するというミッションを今後も果たしていく」と述べている。
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