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Armの“囲い込まない”IoTプラットフォームがその先に見据えるものIoT観測所(48)(1/3 ページ)

このところ、IoTプラットフォームに関するArmの巻き返しがちょっとすごいことになっている。2018年2月下旬から矢継ぎ早に展開を急拡大しているのだ。

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 このところ、IoT(モノのインターネット)プラットフォームに関するArmの巻き返しがちょっとすごいことになっている。2017年11月の時点ではIoT向けクラウドサービス「Mbed Cloud」の提供が始まるとともに、ゲートウェイなどさまざまなIoTデバイスに対応するための管理機能「Mbed Edge」のプレビュー版を用意するという状況だったが※1)、2018年2月下旬から以下のように展開を急激に拡大しているのだ。

※1)関連記事:Arm「mbed OS」は立ち位置を変えながら進化する

 こんな具合に、次々とMbed Cloudそのもの、あるいはMbed Cloudのエコシステムを強化する手段を獲得しており、トレジャーデータの買収に合わせて新たなIoTプラットフォームとなる「Pelion IoT Platform」を立ち上げた。こうした一連の動きを見ていると、Armのビジネス目標は、Mbed Cloudをさらに超えた先に焦点を当て始めているのではないか、という気がする。

矢継ぎ早に手を打つArm

 一足飛びに結論に行く前にもう少し順を追って説明しよう。まず2月21日に発表されたArm Kigen。これは、eSIMを利用するためのプラットフォームであり、デバイスの側にeSIMを扱うためのOSを提供するとともに、ArmがeSIMに対してユーザーのプロファイルをプロビジョニングするための環境となる「Kigen Server Solutions」を提供することで、eSIMをIoT機器に簡単に組み込めるようになる。

 これと対になるのが翌2月22日の、Mbed OSによるNB-IoTのサポートの発表である。これが出るまで、Mbed OSのコネクティビティは実質的にLAN/PAN(要するにWi-FiかBluetooth、Thread/Bluetooth、etc...)、もしくはSigfoxなどの無線局免許が不要なアンライセンスバンドに限られていた。もちろん、開発者が自分でセルラー通信モジュールを持ってきて実装することは技術的には可能だが、手間はそれなりに掛かるものだった。ところが、Mbed OSが標準でNB-IoTをサポートし、かつKigenを利用すればeSIMが使えるようになることで、SIMが必要になるライセンスバンドのNB-IoT(例えばCat.NB1)向けの機器(というかシステム)を容易に構築できるようになった。

 こうした準備が整ったところで、6月のストリームの買収である。同社は買収直前まで「IoT-X」と呼ばれるプラットフォームを提供する企業であった(図1)。WebサイトにはPaaSという文字も踊るが、別の見方をすれば同社は欧米のさまざまなキャリアのMVNOでもあり、要するに複数の地域に跨って利用されるシステムや、複数の地域を跨いで移動する資産のトラッキングなどに対して、ワンストップのモバイルサービス(ただしIoT向け)を提供するとともに、その管理システムなどをまとめてPaaSとして提供する企業である。

図1
図1 2018年1月時点のストリームのWebページより。携帯電話網や衛星通信、LPWA、Wi-Fiなどさまざまなコネクティビティを利用できるプラットフォームである(クリックで拡大)

 このIoT-XはeSIMを利用して構築されており、一連の流れを考えるとArm KigenやMbed OSでのNB-IoTのサポートは、ストリームを買収する前提だったのではないかとすら思えてくる。真偽のほどはともかくとして、これによりストリームの提供してきたIoT-Xは“Connectivity Management as a Service”となり、この中でMbed OSも当然にサポートされることになる。

 ただし、このConnectivity Management as a ServiceはMbed OS専用ではない。実際同社はさまざまなプラットフォームをサポートしており、これはArmによる買収後もそのまま継続される。というよりも、おそらくは今後もMbed OS以外のプラットフォームのサポートは広がってゆくものと思われる。この「囲い込まない」買収は、続くトレジャーデータでも繰り返されることになる。

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