「世界最小」で「世界最高」の変換効率を持つDC-DCコンバーターモジュール:組み込み開発ニュース
村田製作所は、「世界最小の実装面積および世界最高の電圧変換効率を実現した」(同社)とするDC-DCコンバーターモジュール「UltraBK MYTN」シリーズの販売を開始した。実装面積が従来品比で約50%削減し、ピーク電圧変換効率は90.0〜90.5%となっている。
村田製作所は2020年10月29日、「世界最小の実装面積および世界最高の電圧変換効率を実現した」(同社)とするDC-DCコンバーターモジュール「UltraBK MYTN」シリーズの販売を開始した。
周辺回路を含めた総実装面積は、従来品比で約50%減の143mm2となっており、ピーク電圧変換効率は90.0〜90.5%に達した。さらに、インダクタンス値の最適化と高周波スイッチング動作により高速応答が可能となっており、ノイズは従来品比で約20dB低減している。
開発にあたり、入力電圧とコンデンサーに充電した電圧を重ね合わせる同社独自の「チャージポンプ技術」と、従来のDC-DCコンバーター回路とを融合させた新方式「2ステージアーキテクチャ」を採用した。
小刻みな電圧ステップで入力電圧を降圧することで低耐圧FETの使用が可能になり、個々のインダクターへの依存度が低減している。降圧された電圧がDC-DCコンバーター回路の実質上の入力電圧となるため、入力電圧と出力電圧との差によるデューティーサイクルの課題も生じない。
サイズは10.5×9.0×2.1mmで、入力電圧が12V、出力電圧が1.8Vとなっている。PCIeカードやAI(人工知能)アクセラレーターカード、HPC(ハイパフォーマンスコンピュータ)、基地局機器といった用途での需要が見込まれる。
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