マルチバンド通信に対応した世界最小クラスのSAWデバイス:組み込み開発ニュース
村田製作所は、SAWデュプレクサ「SAYAV」「SAYRV」「SAYAP」の3シリーズとSAWフィルター「SAFFW」シリーズの量産を開始した。世界最小サイズと性能を両立し、スマートフォンの多機能化やハイパワー化、回路設計の高密度化に対応する。
村田製作所は2019年7月16日、小型SAW(Surface Acoustic Wave:表面弾性波)デバイスとして、SAWデュプレクサの「SAYAV」「SAYRV」「SAYAP」の3シリーズ及びSAWフィルター「SAFFW」シリーズの量産を開始した。
スマートフォンのマルチバンド化に伴い、特定周波数を送受信するSAWデバイスは、最低でも1台当たり14個以上、ハイエンドモデルでは40個程度必要なため、小型化へのニーズが高い。新製品は、チップ設計とパッケージング方法を見直すことで、世界最小サイズと性能を両立させた。
SAWデュプレクサのサイズは1.6×1.2mm、SAWフィルターは0.9×0.7mmで、従来品と比較してデュプレクサは約24%、フィルターは約37%縮小している。これにより、回路の実装面積を大幅に削減し、高密度回路設計に対応する。
さらに、伝送特性とアイソレーション特性では、従来品と同等以上の性能を確保。今後予想されるスマートフォンのハイパワー化に対応できるよう、耐電力性も改善している。
同シリーズのラインアップは、標準化団体3GPPが定める主要な周波数帯をカバーする。同社は今後、製品を増やして、2019年度末には700M〜2.6GHz帯の主要な通信帯に対応する方針だ。5Gで新たに利用が見込まれるsub-6(3G〜6GHz)周波数帯に対応した製品の開発も進めている。
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