パナソニックの独自技術をWHILLに詰め込んだ追従型モビリティ「PiiMo」:モビリティサービス(2/2 ページ)
パナソニック プロダクションエンジニアリング(PPE)は、オンラインで新製品発表会を開催し、追従型ロボティックモビリティ「PiiMo(ピーモ)」を2020年11月から販売開始すると発表した。
安全停止技術
一方、安全停止技術については、走行方向を推定しながら重点的にセンシングすることで“止まり過ぎない安全性”を実現。また、衝突回避においては、産業機器向け機能安全規格であるIEC 61508傘下の機械安全関連規格「IEC 62061」の適合証明を取得した「業界初」(同社)の安全関連制御システムを搭載する。
車両連携技術
そして、車両連携技術では、車両同士をWi-Fi(無線LAN:5GHz帯)で接続することによって、車車間通信を実現。後方を走る車両が何らかの理由(人が横切ったなど)で停止してしまった場合に、取り残さないように列全体が停止する「列停止機能」、車両に搭載されている操作用タブレット端末から先頭の車両に停止を要求できる「停止リクエスト機能」、隊列内における車両の順番変更や追加、分離(離脱)を実現する「列組み換え機能」などを実装する。
WHILLをベースにPPEの独自技術を搭載
PiiMoのハードウェア仕様は次の通りだ。車両サイズは592×1046×870mmで、重量は70kg。最大搭乗重量は100kgで、最高速度は時速4kmに設定。連続走行距離は約16km(走行環境により変動)。前方にレーザーレンジファインダーを2つ、後方に追従用反射板を2つ搭載する。また、スタッフが搭乗せずに車両を動かすことができるコントローラーや操作用タブレット端末も備える。背もたれ付近のブレーキ解除レバーを操作することで、車いすのようにスタッフなどが人力でPiiMoを手押しすることも可能だ。
ベースとなるModel Cは、WHILLから供給を受け、PPEが各種ハードウェアや制御アルゴリズなどを実装し、PiiMoとして販売する。想定販売価格(税抜き)は1台300万〜400万円で、2023年度までに100台の販売目標を掲げる。
パナソニックとWHILLは2015年から両社の強みを生かし、ユニバーサルなロボティックモビリティの共同開発に取り組んできた。また、WHILL自身も空港内などでの利用を想定した自動運転システムを手掛けている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 車いす型自動運転モビリティが羽田空港に正式導入、COVID-19対策にも貢献
WHILLは2020年6月8日、羽田空港第1ターミナルにおいて、車いす型の自動運転パーソナルモビリティの導入が決まったと発表した。 - 電動車いすのWHILLが国内外5空港で自動運転実証、高齢者から好評の声
電動車いすを手がけるWHILLは2019年12月26日、2019年に国内外の5カ所の空港で電動車いすの自動運転システムの実証実験を実施したと発表した。 - 車いすをカッコいい乗り物に! 既成概念を打ち破る「WHILL」のデザイン思想
「全ての人の移動を楽しくスマートにする」をミッションに掲げ、誰もが乗りたいと思えるパーソナルモビリティを手掛けるWHILLの平田泰大氏に、歴代「WHILL」の変遷を踏まえながら、デザインに込められた思いや、各世代でどのようなチャレンジが行われたのかを詳しく聞いた。 - 自動追従の電動車いすが成田空港で検証、高齢者の乗り継ぎ不安を解消へ
全日本空輸(ANA)とパナソニックは2019年5月16日、前方の車いすに自動で追従する電動車いすの実証実験を成田空港で行った。航空便を乗り継ぐ高齢者など、移動に不安を持つ乗客の利便性向上と空港地上係員の負担軽減を狙う。 - 電動車いすをMaaSの一部に、呼ぶと自律走行で迎えに来てくれる
電動車いすベンチャーのWHILLは2019年1月7日、消費者向けエレクトロニクス展示会「CES 2019」(2019年1月8〜11日、米国ネバダ州ラスベガス)において、電動車いす向けの自動走行技術「WHILL 自動運転システム」を出展すると発表した。また、同システムは「CES 2019イノベーションアワード」を受賞した。同賞は、優れたデザインやエンジニアリングのコンシューマーエレクトロニクス製品に贈られる。 - WHILLの電動車いすに新モデル、2020年11月からは直販もスタート
WHILLは2020年9月17日、近距離モビリティの新モデル「WHILL Model C2(ウィル モデル シーツー)」を発表した。同年9月21日から予約販売を開始する。購入の場合、本体価格は47万3000円。介護保険を利用したレンタルでは月額2700円となる。