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柿渋が新型コロナウイルスを1万分の1以下に不活化することを確認:医療技術ニュース
奈良県立医科大学は、柿から高純度に抽出した柿タンニン(柿渋)が、新型コロナウイルスを1万分の1以下に不活化することを確認した。実験条件は人の口腔内の条件と類似しており、柿タンニンによる不活化が口腔内でも起こる可能性を示唆している。
奈良県立医科大学は2020年9月15日、免疫学 教授の伊藤利洋氏らが、柿から高純度に抽出した柿タンニン(柿渋)が、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を1万分の1以下に不活化することを確認したと発表した。
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実験では、試験管内で「新型コロナウイルスと人の唾液のみ」と「新型コロナウイルスと人の唾液に柿タンニンを加えた場合」を比較した。その結果、柿タンニンの添加により、新型コロナウイルスが不活化することが明らかとなった。
なお、今回の研究では、治療効果についての検証は実施していない。また、人の口腔内に新型コロナウイルスが入った場合の予防効果についても、直接的に検証していない。しかし、実験条件は人の口腔内の条件と類似しており、柿タンニンによる新型コロナウイルスの不活化が人の口腔内でも起こる可能性を示唆している。
同大学では現在、今回の研究成果を基にした製品を共同開発する企業を募集している。また、人に対する効果を確認するための臨床研究も進める予定だ。
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