日立がエリクソンと共同で5Gの産業活用へ、ロボットの遠隔操作をエッジAIで支援:製造業IoT
日立製作所の米国法人である日立アメリカ社は、エリクソンの協力を得て、同社研究開発部門の一部であるシリコンバレーリサーチセンター内に専用5Gネットワークを構築したと発表した。
日立製作所(以下、日立)の米国法人である日立アメリカ社(Hitachi America)は2020年9月24日(米国時間)、エリクソン(Ericsson)の協力を得て、同社研究開発部門の一部であるシリコンバレーリサーチセンター(カリフォルニア州サンタクララ)内に専用5Gネットワークを構築したと発表した。ジョージア工科大学と共同開発したロボット遠隔操作技術とこの5Gネットワークを組み合わせた実証実験を始める他、エリクソンとの間で5Gネットワークを活用したさまざまなIoT(モノのインターネット)ソリューションの共同開発も進める計画である。
日立アメリカ社のシリコンバレーリサーチセンターにおけるロボットアームを利用した5Gユースケースの研究の様子。なおロボットアームとしてはKinovaの「Kinova Gen3」を使用している(クリックで拡大) 出典:日立
ジョージア工科大学との実証実験は、5Gに加えて、リアルタイム性の高いネットワーク技術であるTSN(Time Sensitive Networking)などを活用した「ロボティクスとAI(人工知能)」による、現場の規模に応じた柔軟な製造の自動化がテーマになっている。そのアプリケーションの1つが、リアルタイムでインタラクティブな、熟練作業者と機械のリモートコラボレーションだ。5Gネットワークを用いて、製造現場から4K映像や立体視が可能になるToF(Time of Flight)センサーのデータを収集し、これらの大量のデータは、より現場の近くでコンピューティング処理を行うMEC(Multi Access Edge Computing)サーバ上に組み込んだエッジAIによって分析する。これによって、よりリアルタイム性の高い分析が可能になるので、遠隔地にいる熟練作業者の判断の支援とロボットの最適な制御が可能になるという。
例えば、完全にAIによって自動化されたロボットアームによるピッキング作業は、ピッキング対象がベルトコンベヤーに正しく配置されていなかったり、サイズや形状が異なったりすると誤動作を起こす可能性がある。この課題を解決するのが、ロボットによる自動化と熟練作業者による遠隔操作を組み合わせた、ジョージア工科大学のコラボレイティブロボティクスシステムだ。エッジAIによる分析を活用することで、ロボットによる自動化で対応できない状況について熟練作業者が遠隔操作で対応する。このエッジAIの活用によって、遠隔操作の作業時間を50〜70%短縮することが期待できる。
日立はこれまで、OT(制御技術)やIT(情報技術)、さまざまな製品を組み合わせるとともに、顧客との共創を通じて、デジタルソリューションの「Lumada」を開発してきた。このLumadaと5Gを掛け合わせた「Lumada×5G」によって、さらなる革新的なソリューションの提供につなげていきたいとしている。
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