激動のモビリティ業界が今取り組むべき働き方/業務プロセス変革の方向性:PTC Virtual DX Forum Japan 2020(2/2 ページ)
PTCジャパン主催のオンラインイベント「PTC Virtual DX Forum Japan 2020」のキーノートに、同社 インダストリー第2事業部 執行役員 専務の小笠原誠氏が登壇し、「激動のモビリティ業界『CASE』そしてアフターコロナで求められるデジタル変革とは」をテーマに講演を行った。
距離を意識しない販売・整備の実現
また、次世代の働き方において、自動車の販売や整備の領域はどのように変化するのか。ここでも情報のデジタル化と人への提供を軸に、距離を意識させない販売および整備プロセスが実現できるという。このとき、キーとなるのが「デジタルマイスターHUB」という考え方で、これがリモートと現地の橋渡し役を担うことで、非接触での自動車販売/サービス提供を可能にするバーチャル店舗やバーチャルショールームの実現に寄与する。
講演では、自動車の購入体験に付加価値をもたらすAR活用の事例として、日産自動車の高級ブランド「インフィニティ」の商談で実現したカスタマーエクスペリエンスの改善の取り組みを紹介。「インフィニティ QX50」に初めて搭載されたVCターボエンジンの原理や動作を分かりやすく顧客に伝えるために、対話型ARアプリケーションを開発し、ディーラーや展示会などでの商談で魅力的な購買体験を顧客に提供することができたという。
ニューノーマル時代の働き方を支援するPTC
これら事例を踏まえ、小笠原氏は「人と人、モノとモノ、人とモノをつなげ、距離をなくし、デジタルツインと呼ばれるフィジカルとバーチャルが融合された世界を築き、それらがあたかも同じ空間で仕事をしているかのような環境を作っていく。このさまざまな業務プロセスの連携をデジタルの力で支援する『デジタルパイプライン』の実現こそ、企業が早急に取り組むべきことだ」とし、その実現にはデジタルデータ、特に3Dデータの活用が不可欠であり、その活用こそがニューノーマル時代における新たな働き方を実現するための礎になるとの考えを示す。
PTCでは、設計、製造、保守など製品ライフサイクル全般に対して、3D CAD、PLM、IoT、ARなどさまざまなソリューションを提供し、デジタルによる価値提供を行っている。そして、今後さらに、そうした価値をより広く、柔軟に享受できるよう、PTCのあらゆるソリューションをSaaS(Software as a Service)型で提供していく「Atlasプラットフォーム」構想を掲げる。
最後に小笠原氏は「デジタルとフィジカルの融合によるデジタルツインの世界を実現するためのテクノロジー要素である3D CAD、PLM、そしてIoT、ARを全てソリューション提供できる企業はPTCが唯一であり、モビリティ業界を含め、皆さまの未来の働き方を支援できるものと確信している」と述べ、講演を締めくくった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- デジタルデータを最大限に活用する、企業のDX推進を支えるPTCの取り組み
PTCジャパンは、オンラインイベント「PTC Virtual DX Forum Japan 2020」(会期:2020年8月20日〜9月25日)を開催。オープニングエグゼクティブ基調講演では、同社 代表取締役/PTC アジア太平洋地域 統括責任者の桑原宏昭氏が登壇し、「PTCが提供するデジタル変革 危機を乗り越え、新たなステージへ」をテーマに講演を行った。 - CADだけじゃない! Onshapeを活用した“SaaS型”製品開発アプローチの有効性
PTCジャパンは、オンラインイベント「PTC Virtual DX Forum Japan 2020」を開催。リモートワークをテーマとする分科会セッションでは、2019年11月に買収したOnshapeを活用した製品開発のアプローチとその有効性を紹介する講演が行われた。 - 住友ゴム工業が取り組むスマート工場化、データ活用における4つの提言
PTCジャパンは2020年8月20日〜9月25日までの期間、オンラインイベント「PTC Virtual DX Forum Japan 2020」を開催。その特別講演として住友ゴム工業 製造IoT推進室 室長の山田清樹氏と同推進室 金子秀一氏が「ThingWorxを活用したIoT基盤の構築および製造現場におけるデータ分析の事例」をテーマに同社のスマートファクトリー化への取り組みを紹介した。 - “メタボ工場”からどう脱却するか、成功のカギは「両端」を狙うこと
PTCジャパンは2020年8月20日〜9月25日までの期間、オンラインイベント「PTC Virtual DX Forum Japan 2020」を開催。この中でキーノート講演の1つとして、PTCジャパン 製品技術事業部 執行役員 副社長の成田裕次氏が登壇し「なぜPTCがスマート工場に貢献できるのか」をテーマに、スマート工場化の概要とPTCの取り組みについて紹介した。 - 製造ITメーカーとFAメーカーの協業は何を実現するのか
PTCジャパンは2020年8月20日〜9月25日までの期間、オンラインイベント「PTC Virtual DX Forum Japan 2020」を開催。その中でPTCジャパン 代表取締役で米PTC アジア太平洋地域 統括責任者でもある桑原宏昭氏と、ロックウェル オートメーション ジャパン 代表取締役社長の矢田智巳氏が「製造業のこれからを考える」をテーマに対談を行った。 - ニューノーマル時代のトップランナーへ、PTCジャパン桑原氏がSaaS戦略を語る
3D CADやPLM、さらにはIoT、ARの領域において存在感を示すPTCは、新たにSaaS(Software as a Service)戦略の強化を進めている。Onshapeの買収、そしてSaaS戦略の構想を実現するプラットフォーム「Atlas」について、PTCジャパン 代表取締役/PTC アジア太平洋地域 統括責任者の桑原宏昭氏に話を聞いた。