CADだけじゃない! Onshapeを活用した“SaaS型”製品開発アプローチの有効性:PTC Virtual DX Forum Japan 2020(1/3 ページ)
PTCジャパンは、オンラインイベント「PTC Virtual DX Forum Japan 2020」を開催。リモートワークをテーマとする分科会セッションでは、2019年11月に買収したOnshapeを活用した製品開発のアプローチとその有効性を紹介する講演が行われた。
PTCジャパンは2020年8月20日〜9月25日までの期間、オンラインイベント「PTC Virtual DX Forum Japan 2020」を開催。リモートワークをテーマとする分科会セッションでは、2019年11月に買収したOnshapeを活用した製品開発のアプローチとその有効性について、同社 製品技術事業部 CAD技術本部 本部長の財前紀行氏が「完全SaaS型製品開発環境:Onshapeが製品設計に革新をもたらす仕組み」と題し、講演を行った。
Onshapeは、2012年創業のSaaS(Software as a Service)型製品開発プラットフォームプロバイダーで、CAD業界のパイオニアとして知られるJon Hirschtick氏(元SOLIDWORKS CEO/共同創業者)、John McEleney氏(元SOLIDWORKS CEO)、Dave Corcoran氏らによって設立された。彼らが提供する「Onshape」は、堅牢(けんろう)なCAD、強力なデータ管理、コラボレーションツールを統合した、「業界初」をうたうSaaS型製品開発プラットフォームである。2019年11月にPTCに買収され、エンジニアリング領域におけるクラウド/SaaS活用を推進する役目を担っている。
オンプレミスの製品開発環境が抱える課題を解消するOnshape
従来のオンプレミスによる製品開発環境の場合、CADソフトのインストール以外にも、PDMやライセンスサーバ/コードといった業務に必要なソフトウェアなどを個別に導入する必要がある。さらに、各ソフトウェアのインストール後は、ソフトウェアごとにアップデートやパッチを適用する作業などが発生する。このように、ただでさえ煩雑で手間の掛かる作業である上に、離れた拠点や協力会社とソフトウェアの使用バージョンを合わせるとなると、その労力は計り知れない。
また、環境準備だけでなくファイル管理の観点でも、オンプレミスの製品開発環境には課題がある。CADを用いた設計業務では非常に多くの設計データ(ファイル)が作られる。これが複数のメンバーで構成されるチームとなると、それぞれ自分が担当する設計を行うために、電子メールやUSBメモリ、クラウドストレージなど、さまざまな手段を介してデータのコピーが行われるようになり、最終的に「どれが最新版のファイルか分からない」「誰が同じ部品に対して作業しているか分からない」といった状況に陥り、ファイル管理に膨大な時間を費やすことになる。
「こうした課題を解消するために開発されたのが、完全なSaaS型製品開発プラットフォームであるOnshapeだ。Onshapeはクラウド内の1カ所に、全てのツールとデータが存在しているため、インストールやファイルのコピーが不要で、ソフトウェアのバージョン管理に悩むこともない」(財前氏)
Onshapeは、APIとデータベースを核とし、高度なセキュリティを施した上で構築され、その上にCAD、データ管理、ワークフロー、BOMといった機能を備える。さらに、管理者向けの管理機能、タスク管理、分析ツールなどがある他、SaaSの特色を生かしたコミュニケーション、モバイル、アプリケーションといった機能も包含されている。ちなみに、OnshapeはPTCによって3週間に1度のペースで最新版にアップデートされるため、ユーザーは常に同じ最新環境で業務を遂行できる。
さらに、使用するデバイスを問わないという点もSaaS型製品開発プラットフォームならではの特長といえる。Webブラウザさえあれば、あらゆるデバイスからOnshapeにアクセスすることが可能だ。
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