RISC-V向けOSおよび開発ツールの共同研究開発を開始:組み込み開発ニュース
イーソル、ユーリカ、京都マイクロコンピュータ、エヌエスアイテクスは、既存のRISC-V開発環境に対し、国内活用の観点から不足しているOSや開発ツールの機能開発と実証評価を開始する。
イーソルは2020年8月12日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が採択した「セキュアオープンアーキテクチャ基盤技術とそのAIエッジ応用研究開発」の委託事業について、ユーリカ、京都マイクロコンピュータ、エヌエスアイテクスと共同研究開発を開始すると発表した。
同事業は、既存のRISC-V開発環境に対し、国内活用の観点から不足しているOSや開発ツールの機能開発と実証評価を進める。特に、組み込みシステムで求められる処理効率やリアルタイム性の確保を重視する。また、プロジェクト終了後に各社がサポートを含めたビジネスを展開することで、国内外の組み込みシステムを開発する機器メーカーなどでのRISC-Vの活用を支援する。
イーソルは同事業において、RISC-Vに最適化したマルチコア対応のランタイム環境(RTE)の設計および開発、同社の並列化支援ツール「eMBP」のRISC-Vへの対応を進める。国際標準規格「IEEE Std. 2804」として認定されている同社のマルチコア、メニーコア環境向け構造記述仕様「SHIM XML」のRISC-V版を開発し、オープンソース化することでRISC-Vの標準化を促進する。
ユーリカは、セキュアオープンアーキテクチャに対応したRTEのオープンソース化の実証を担うほか、POC(概念実証)システムとしてFPGAを想定した対応評価環境を設計、開発する。京都マイクロコンピュータは、RTE対応のベクトル化を含むC言語コンパイラおよびツールチェインの研究開発を、エヌエスアイテクスはマルチコアRISC-Vシステムで必要とされる並列プログラミング環境の開発を担当する。
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