TOPPERSが64ビットRISC-Vに対応、リアルタイムOSカーネルを公開:組み込み開発ニュース
TOPPERSプロジェクトは、Sipeedが開発した64ビットRISC-Vプロセッサ搭載ボード「Maixduino」に、μITRON系のリアルタイムOSカーネル「TOPPERS/ASPカーネル(Release 1.9.3)」をポーティングし、オープンソース化する。
TOPPERSプロジェクトは2019年11月20日、Sipeedが開発した64ビットRISC-Vプロセッサ搭載ボード「Maixduino」に、μITRON系のリアルタイムOSカーネル「TOPPERS/ASPカーネル(Release 1.9.3)」のポーティングを実施し、オープンソース化すると発表した。
同プロジェクトでは、同年5月にSiFiveが開発した32ビットRISC-Vプロセッサ搭載ボード「HiFive1」に対応したTOPPERS/ASPカーネルを公開。組み込みソフトウェアプラットフォーム「TOPPERS BASE PLATFORM(RV)V0.1.0」を配布している。
今回、ASPカーネルのRISC-V向けプロセッサ依存部を、RISC-V/32とRISC-V/64の両方に対応するよう再設計した。FPU(浮動小数点演算ユニット)処理のプロセッサ依存部に集約したことで、SoCに依存する部分の設定変更だけで、32ビットと64ビットの切り替えやFPUサポート対応の切り替えができる。また、コンパイラには、GNU MCU Eclipseで公開されているGCCコンパイラを採用した。
Maixduinoは、Kendryte製SoC「K210」を搭載。K210は、64ビットRISC-Vプロセッサ「RV64IMAFDC」を2個搭載し、FPUにも対応する。
現在、K210対応のTOPPERS BASE PLATFORM(RV)も開発中だ。デバイスドライバの構成は32ビット版と同じになる。既に、GPIO、DMAC、UART、RTC、SPIのデバイスドライバを「V0.1.1」としてTOPPERSプロジェクトの会員に向けて配布している。
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