ヘテロジニアスシステム向けのOS間通信を実現する通信機構:組み込み開発ニュース
TOPPERSプロジェクトは、ヘテロジニアスシステム向けのOS間通信を実現する通信機構「MDCOM」を2016年12月をめどに一般公開する。64ビットARMアーキテクチャに「TOPPERS/FMPカーネル」が対応する。
TOPPERSプロジェクトは2016年11月16日、ヘテロジニアスシステム向けのOS間通信を実現する通信機構「MDCOM(Multi Domain Communication Module)」を同年12月をめどに一般公開すると発表した。64ビットARMアーキテクチャに、マルチプロセッサ向けのリアルタイムOSの「TOPPERS/FMPカーネル」が対応する。
ヘテロジニアスシステムは、各OS上で動作するアプリケーションが連携して処理を進めるため、OS間の通信機能が必要となる。TOPPERSでは、新たなOS間通信機能として仮想化とヘテロジニアスマルチコアの両方で使用できるMDCOMを開発。MDCOMは、TOPPERSカーネル上のタスクとLinux上のプロセス間での通信をサポートする。
ヘテロジニアスシステムを実現するには、2つの方法がある。1つは、シングルコアまたは同種類のコアで構成されたマルチコア上で、ハイパーバイザなどを用いてリアルタイムOSと汎用OSを動作させる方法だ。
64ビットARMアーキテクチャは、TOPPERSカーネルとLinuxをARM Trusted Firemwareの拡張によって動かすことも可能だ。この開発において、64ビットARMアーキテクチャにTOPPERS/FMPカーネルを対応させた。さらに、IoT(モノのインターネット)機器を対象としたARM Cortex-Mプロセッサ向けのTrustZoneのサポートも進めている。
もう1つの方法のヘテロジニアスマルチコアは、汎用OSが動作するアプリケーションコア(AP-CORE)と、リアルタイムOSが動作するリアルタイムコア(RT-CORE)を持つハードウェアを用いる。現状ではTOPPERSカーネルとLinuxが、Zynq UltraScale+ MPSoC、i.MX6SX、i.MX7Dで動作する。また、TOPPERSカーネルはAP-COREとRT-COREの両方で動作できる。
近年、組み込み機器の高機能化に伴い、リアルタイムOSで制御していたシステムにGUIやクラウドサービスとの連携が求められている。これらを低コストで実現するために、リアルタイムOS上でリアルタイム性や信頼性が求められる処理を実現し、汎用OS上でGUIやネットワーク処理を実現するヘテロジニアスシステムが開発された。
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