三菱自がU字回復へ新中計、高収益のASEANに経営資源を集中:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
三菱自動車は2020年7月27日、2021年3月期第1四半期(2020年4〜6月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比57.2%減の2295億円、営業損益は533億円の損失、当期純損益は1761億円の損失となった。販売台数は同53%減(15.9万台減)の13.9万台だった。
成長ドライバーはASEAN
地域戦略のうち、成長ドライバーとなるのはASEANで、「事業中核地」として経営資源を集中させる。2019年度の営業利益はグローバルで128億円だったのに対し、ASEANは636億円を稼いでいた。また、タイやインドネシア、フィリピン、ベトナムの4カ国でのシェアは10.6%で、日米欧よりも高いシェアを持っている。
ASEANでは三菱商事と協力し、生産と販売の連携によって収益性を高める他、ベトナムやマレーシア、ミャンマーの生産を強化して相互補完体制を確立する。タイではプラグインハイブリッド車「アウトランダーPHEV」の生産、販売を開始する他、ディーラー展開を充実させる。ベトナムでは生産車種にASEANの主力モデル「エクスパンダー」を追加する他、新工場の準備を始める。フィリピンはASEAN向けの小型商用車の生産、輸出を開始する。ASEANでの販売台数は、2019年度比で28.8%増の37.5万台を目指す。ディーラー展開にも投資し、質の伴った販売拡大を目指すとしている。
ASEAN向けの新型車展開を強化するのは2022年度以降となる。2022年度には「トライトン」の次期モデルを投入。2023年度以降にエクスパンダーのハイブリッド車を追加する他、エクスパンダーや「パジェロスポーツ」の次期モデルなど新型車を充実させる。
オセアニアや南アジア、中東、南米、アフリカは成長ドライバーの第2の柱としてASEAN向けの商品を活用する。中国は、広州汽車や三菱商事と連携して成長ドライバーに育てる。広州汽車とは中国の環境規制対応で協力し、新型の電気自動車(EV)など共同開発を進める。また、研究開発拠点を中国に新設するなど現地開発も強化する。
日本は生産・販売体制の再編による収益改善が課題となる。生産面では、2021年上期までに完全子会社のパジェロ製造(岐阜県坂祝町)の生産を停止し、工場を閉鎖することを決めた。パジェロ製造の生産車種は三菱自動車の岡崎製作所(愛知県岡崎市)に移管する。これに伴う費用は81億円で、事業構造改革費用の一部として計上する。欧州でも収益性改善を進めるため新製品投入を凍結、開発費を削減する。欧州での既存モデルの販売やアフターサービスは継続する。
商品戦略では、2020〜2022年度の中計ではPHEVやEVのラインアップ強化に取り組む。2020年度は「エクリプス クロス」にPHEVモデルを追加。2021年度は「アウトランダー」の次期モデルや広州汽車と共同開発する新型EVを展開。2022年度に新型アウトランダーにPHEVモデルを追加する。この他にも日産自動車と共同開発する軽自動車タイプのEVも商品ラインアップに加わる。
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