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コンセプトカーそのままに、日産の新型EV「アリア」は2021年発売電気自動車(1/2 ページ)

日産自動車は2020年7月15日、電気自動車(EV)の新モデル「アリア」を発表した。2019年10月に東京モーターショーで披露した「アリア コンセプト」の内外装をなるべく変えずに製品化することを意識した。

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 日産自動車は2020年7月15日、電気自動車(EV)の新モデル「アリア」を発表した。2019年10月に東京モーターショーで披露した「アリア コンセプト」の内外装をなるべく変えずに製品化することを意識した。


EVの新型車「アリア」を発表した(クリックして拡大)

 バッテリー容量は65kWhと90kWhを用意。駆動方式は2WDと、駆動用モーターを前後に合計2基搭載した4WDから選択できる。社内測定での走行距離はWLTCモードで430km(65kWh、4WD)から610km(90kWh、2WD)となっている。バッテリーの容量拡大だけでなく、空気抵抗の改善や車両全体の効率の見直しによって走行距離を確保した。

 アリアの販売は2021年半ばに日本でスタートし、同年末までに欧米や中国でも展開する。日本での実質購入価格は約500万円からとなる見込みだ。生産は栃木工場で行う。同工場には330億円を投資して新たな生産技術を導入しており、アリアの生産でもこれらの生産技術を活用する。

 「スカイライン」で採用した運転支援システム「プロパイロット2.0」をアリアでも搭載する。今回は、自車位置測位の精度を向上するため、準天頂衛星システムの測位情報も使用する。これにより、車線数の多い場所でも自車位置を把握しやすくなる。車両には、カメラ7個、レーダー5個、ソナー12個を搭載。スカイラインと同様に高精度地図も使用する。

バッテリー大容量化に合わせて高出力型急速充電に対応

 アリアの競合モデルについて「サイズ的にはテスラの『モデルY』が近いが、アリアでは快適な室内となっており、『モデル3』よりも快適なのでないか。テスラや中国地場の自動車メーカー、欧州勢のEVと比べても、ユニークな価値を提供できると思っている」(日産自動車 執行役副社長の中畔 邦雄氏)と自信を見せた。

 アリアでは、プラットフォームをEV専用に新開発した。「リーフ」では既存のエンジン車のプラットフォームを流用していたためパッケージングなどに制約があったが、アリアは、バッテリーを床下の車体中央に配置し、バッテリーケース内にクロスメンバーを配することで、フラットで剛性の高いフロアを実現した。前席も、運転席と助手席の間がフラットになっている。

ヘッドランプのデザインや、フロントグリルもコンセプトカーの意匠を踏襲した(左)。室内にもコンセプトカーで提案した日本的な格子模様を取り入れている(右)(クリックして拡大)

 駆動用モーターなどパワートレインを新たに開発して小型化することにより、空調ユニットもモータールームに配置し、CセグメントのボディーサイズでDセグメントレベルの広い室内空間を持たせた。室内空間の広さには運転席と助手席のシートも貢献している。従来のシート骨格は角ばった怒り肩のような形だが、アリアのシートでは、なで肩でスリムな薄型のシート骨格を採用。これにより、後席の乗員から前席や前方が見えやすく、空間として一体感が生まれるという。車両サイズは全長4595×全幅1850×全高1655mmで、ホイールベースは2755mm。車両重量はグレードや装備によって1900〜2200kgとなる。

 バッテリーは従来の調達先から変更した。変更の理由については、アリアに合う仕様と量を競争力のあるコストで提供できたためだとしている。グローバルで電動化を進めるためには複数のバッテリーメーカーから調達することが必要だとしており、今後も複数のバッテリーメーカーと連携していく方針だ。バッテリーに使用する電極材料は、コバルト酸リチウムにニッケルとマンガンを組み合わせたリーフと同じ三元系だ。


高出力型の急速充電に対応させた。バッテリーが大容量化しても充電の利便性を低下させないためだ(クリックして拡大)

 リーフよりも大容量のバッテリーを搭載することもあり、最大出力150kWのCHAdeMO急速充電器を2021年度内に公共性の高い場所で設置する。もちろんアリア側のバッテリーも高出力型の急速充電に対応している。バッテリーには温度を一定に保つための水冷式の温度調整システムを搭載。高出力型の急速充電器を使用すると30分間で最大375km分を充電することが可能だ。

 高出力型の急速充電器がなければアリアの高容量モデルが使いにくいというのではなく、「走行距離と既存のインフラの密度から考えてユーザーは負担なく使える。インフラが整っていけば現在より速い充電が利用できるようになる。アリアで高出力型の急速充電に対するクルマ側の準備は整ったということ」(中畔氏)。

 高出力型急速充電器は日産だけでは整備できない。既存の急速充電器が各社の電動車投入に合わせて整備されてきたことから、高出力型の急速充電器も日産で独自に普及させるのではなく、既存の急速充電器と同様に整備が進んでいくとの見解だ。

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