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駆動用バッテリーなど市場調査、地域別では欧州の需要が最大にエコカー技術

富士経済は2020年7月7日、車載用二次電池の市場調査結果について発表した。2035年に駆動用バッテリーは2019年比7.4倍の19兆7185億円に拡大する見通しで、車種別では電気自動車(EV)向けが75%超、プラグインハイブリッド車(PHV)向けが15%を占めるという。補機用は同14.7%増の2兆470億円に拡大すると見込む。

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 富士経済は2020年7月7日、車載用二次電池の市場調査結果について発表した。2035年に駆動用バッテリーは2019年比7.4倍の19兆7185億円に拡大する見通しで、車種別では電気自動車(EV)向けが75%超、プラグインハイブリッド車(PHV)向けが15%を占めるという。補機用は同14.7%増の2兆470億円に拡大すると見込む。

 駆動用バッテリーを種類別に見ると、市場の構成比はリチウムイオン電池が最も大きい。今後、EVやPHVの市場拡大に加えて、ハイブリッド車(HV)でも搭載が増えるため、大幅な伸びが予想されるという。ニッケル水素電池は日系自動車メーカーのHVなどで搭載されているが、2020年以降、リチウムイオン電池に置き換わるケースが増える。中長期的にはニッケル水素電池の市場は横ばいから微増で推移するとみられる。

 電気二重層キャパシタは、12V系のマイルドHV向けではリチウムイオン電池に置き換わるが、コストの低さや回生効率の高さから、燃費性能のベースアップ技術として今後も搭載が期待できるという。リチウムイオンキャパシタは、12V系マイルドHVの次世代モデルや高付加価値モデルでの搭載など、一部での需要が予想されるという。

 補機用バッテリーは、現時点では大部分が鉛電池だ。補機用でのリチウムイオン電池や電気二重層キャパシタは一部の需要にとどまっている。2025年ごろから欧州を中心に補機用でリチウムイオン電池の搭載が増える見通しだ。市場の構成比は、2035年でも鉛電池が90%以上を占めるが、リチウムイオン電池は7%弱に上昇すると見込む。欧州では、補機用でのリチウムイオン電池のシェアは25%強まで成長するとみられる。

地域別の駆動用バッテリー需要動向

 駆動用バッテリーの地域別の市場は、現時点では規制によって電動車の生産や販売が奨励されている中国や北米のシェアが高く、中国が50%弱を占める。電動車向けの補助金制度は2022年末まで延長が決定しており、EVを中心に市場が伸びるとみられる。2035年の中国の駆動用バッテリー市場は、2019年比5.5倍の7兆3169億円に拡大すると見込む。

 北米では、現在の駆動用バッテリーのシェアはEVが90%近くを占めるが、PHVやマイルドHV向けも中長期的に伸びるとしている。カリフォルニア州など11州が「Multi-State ZEV Action Plan」協定を結び、2025年に新車販売の15%をZEV(ゼロエミッションビークル)とする計画を立てていることなどから、2030年に北米の駆動用バッテリー市場は2兆1149億円に拡大すると予測する。


駆動用バッテリーの世界市場(クリックして拡大) 出典:富士経済

 2025年に駆動用バッテリーの最大の需要エリアとなるのは、欧州だという。EU域内で自動車メーカーに一定規模の電動車販売を求めるZLEVs(Zero- and Low-Emission Vehicles)規制が実施される方針である他、ノルウェーやドイツ、フランス、英国、オランダなどに加えて中東欧諸国も電動車の普及政策を充実させていることが市場をけん引する。2020年以降、欧州では駆動用バッテリーの需要が急激に増加するとしている。2035年の欧州の駆動用バッテリー市場は、2019年比18.0倍の8兆1579億円に拡大すると見込む。

 日本はHVがすでに普及していることなどからPHVやEVの市場は他の地域より小規模だが、2030年を目標とする燃費規制の制定などにより需要が堅調に増加し、2035年の駆動用バッテリー市場は、2019年比5.5倍の1兆2553億円に拡大すると見込む。

 ミニカーや超小型モビリティといったマイクロEVも、駆動用バッテリーの市場成長に寄与する。2035年のマイクロEVの市場規模は、2019年比6.2倍の312万台に拡大する。地域別では、中国が同8.5倍の196万台、ASEANや東アジアで20.0倍の60万台となる見通しだ。中国政府は2021年までに国家標準でマイクロEVを認可する方針で、成長が見込まれる。東南アジアや南アジアでは、二輪車や三輪自動車の代替移動手段として、現地メーカーでの生産や中国からの輸入が増えているという。欧米ではセカンドカーやサードカーとして需要が拡大する。


マイクロEVの世界市場(クリックして拡大) 出典:富士経済

 走行距離よりもコスト低減が優先されることから鉛電池の搭載が多い。車体の重心を安定させるためリチウムイオン電池よりも重い鉛電池を活用する例もある。EVやHVでリチウムイオン電池を使う自動車メーカーは、マイクロEV向けでもリチウムイオン電池を採用するケースが多い。また、全固体電池の市場投入初期において、搭載容量が少なくて済むマイクロEVが試験的に全固体電池の搭載車両に選ばれる可能性もあるという。中国では、電動車の駆動用バッテリーのリチウムイオン電池をマイクロEVでリユースすることも検討されている。

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