2020年のDX支出額、前年比10.4%増の1.3兆ドル超と予測:製造ITニュース
IDC Japanは、世界のデジタルトランスフォーメーションへの支出額に関する予測を発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による問題が生じたものの、2020年もDXの成長は続く見通しだ。
IDC Japanは2020年6月23日、世界のデジタルトランスフォーメーション(DX)への支出額に関する予測を発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による問題が生じたものの、2020年もDXの成長は続く見通しだ。
同調査では、2020年のDX向けテクノロジーおよびサービスに対する全世界の支出額は、前年比10.4%増の1兆3000億ドル(約139兆1000億円)超と予測。2019年の前年比成長率17.9%には及ばないものの、COVID-19で企業のIT投資にマイナス影響があるなか、数少ない明るい材料になるという。
産業分野別に見ると、COVID-19の影響を大きく受けたのが、ホテルやテーマパーク、カジノ、映画館などを含む個人向けサービスだ。2019年の18.4%の成長から、2020年は5.3%にまで鈍化する。また、最もDX支出額の大きい組立製造では、成長が14.5%から6.6%に低下する。一方、成長率が最も大きいと予測されるのが、建設や土木(16.3%)、医療(15.7%)だが、いずれも2019年より成長は低下する見通しだ。
ユースケース別では、「自律型オペレーション」が510億ドル(約5兆4500億円)、「ロボティクス製造」が470億ドル(約5兆260億円)、「製造上の障害の根本原因の把握」が350億ドル(約3兆7400億円)と、製造分野での支出額が大きいと予測。前年比の伸びでは、教育分野の「仮想化ラボ」「デジタル視覚化」、保険分野の「RPAベースの請求処理」、専門サービス分野の「設計管理の拡張」で成長が大きいと見込まれる。
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