毛が絡みにくい円すい形ダブルブラシを搭載、パナソニックが新型掃除機発売:デザインの力
パナソニックは2020年7月20日、従来の掃除機よりも髪の毛が絡みにくい回転型のダブルブラシ「からまないブラシ」を搭載したコードレススティック掃除機「パワーコードレス MC-SBU840K/MC-SBU640K」を発売する。掃除機のヘッド部分に円すい型のブラシを2つ搭載することで、毛が絡みにくい機構を実現した。
パナソニックは2020年6月23日、オンラインで記者会見を開催し、従来の掃除機よりも髪の毛が絡みにくい回転型のブラシ「からまないブラシ」を搭載したコードレススティック掃除機「パワーコードレス MC-SBU840K/MC-SBU640K」を発売すると発表した。発売予定日は同年7月20日。本体価格は充電アダプターに加えてスタンド式充電台も付属するMC-SBU840Kは9万円前後、充電アダプターのみのMC-SBU640Kは7万5000円前後を想定している。
パナソニック アプライアンス社 コンシューマーマーケティングジャパン本部 商品センター クリーナー担当の柴田絢香氏は「掃除機の能力を考える上では、ごみの吸引力だけでなく、ごみを床の溝などから『かき出す力』も重要だ。日本の住宅はフローリングだけでなく畳など床材が多岐にわたる上、さらにその上から絨毯やカーペットを敷いていることも少なくない。吸引タイプではこれらの素材の奥深くまで入り込んだごみを取り切れないが、回転タイプのブラシであればしっかりかき出せるため有効だ」と解説する。
一方で、回転型のブラシにはブラシ部分に人間やペットの毛が絡みやすいという課題が存在する。一度絡まった毛は直接手で取るかハサミで切断して取り除くなど手入れをしなければならず、ユーザーに負担がかかりやすい作業だった。
これを解決するためにパナソニックが開発したのが「からまないブラシ」だ。従来の回転型ブラシでは円柱状のブラシを採用していたが、これを円すい形のブラシに変更した。また単一のブラシではなく、床との接触点が多い「Y字ブラシ」とかき出す力の強い「硬い毛のブラシ」の2つを搭載するダブルブラシ機構を採用した。「ブラシを円すい形にすることで、かき取った毛がブラシの先端部分、つまり掃除機のヘッド中央部分に向けて集まっていく。構造上、ヘッドの中央部分は一番吸引力が高いため、集めた毛を中央部分で一気に吸い取りやすく、ブラシへの絡みつきが防げる」(柴田氏)。
「からまないブラシ」以外の部分でも絡みつきを防止する工夫が随所に施されている。例えば、従来製品のヘッド部分に存在していたブラシの溝が廃止された他、ノズルローラーの表面には特殊加工が施されて滑らかになりケバが起こりにくくなった。
また柴田氏は「毛の絡みにくさだけでなく、掃除性能も重視した設計を行った」と語る。ブラシの毛量を同社の従来製品と比較して1.9倍にまで増量した他、床面に静電気で張り付いた細かなごみをマイナスイオンの力ではがす「ワイドイオンプレート」を搭載した。
柴田氏は「1967年に回転ブラシを搭載した掃除機を初めて発売して以来、当社では、多くの掃除機に回転ブラシを採用してきた。それは回転ブラシが日本の住宅を掃除する上で最適な形状だと考えるからだ。今回発売する製品では『回転ブラシは毛が絡みやすい』というこれまでの概念を一掃しつつ、掃除性能も十分に確保することに成功した」と語った。
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