処理能力が30倍の新型ルンバ、部屋データでスマートホームの基盤を狙う:ロボット開発ニュース
アイロボットジャパンは2019年2月19日、ロボット掃除機「ルンバ」のフラッグシップを担う新型モデル「ルンバi7」「ルンバi7+」を発表した。家の間取りをマッピングし部屋の状況を記憶する機能を備え、「家のマップデータ」でスマートホームのプラットフォームになることを狙っている。
アイロボットジャパンは2019年2月19日、ロボット掃除機「ルンバ」のフラッグシップを担う新型モデル「ルンバi7」「ルンバi7+」を発表した。
ルンバi7シリーズは従来機種「ルンバ980」から約33倍の処理性能向上を果たした。家の間取りをマッピングし部屋の状況を記憶する機能を備え、掃除をより効率的に実行する機能強化を施した。また、同製品は掃除機であるとともに、「家のマップデータ」でスマートホームのプラットフォームになることを狙っている。。
部屋ごとの掃除を可能にする優れた自己位置推定技術
2019年2月19日に開催されたルンバi7シリーズの製品発表会では、米国iRobotでCEO(最高経営責任者)を務めるコリン・アングル(Colin Angle)氏が登壇し、「最初のルンバを除いて、最も重要なルンバを発表できることをうれしく思う」とコメント。スマートホーム時代の家電では、「自身が家の中でどこにいるのか」という自己位置推定が重要になるとの認識を示す。
ルンバを含めた同社のロボット掃除機では、部屋の状況を判断し自身の行動を制御する独自技術「iAdapt」を搭載する。最もベーシックなiAdaptでは32MIPS(Million Instruction Per Second)の処理能力を持つマイコンと約11.5万行のプログラムで実装しており、続くバージョンのiAdapt 2.0では293MIPSのマイコンと約360万行のプログラムと規模を拡大している。そして、ルンバi7シリーズに搭載される新開発のiAdapt 3.0では、iAdapt2.0比で約33倍となる9880MIPSのマイコンに100万行以上のプログラムが組み合わされ、優れた自己位置推定を実現した。
iAdapt 3.0では数回の清掃で自動的に家の間取りをマッピングし、学習したフロアマップから最適なルートで掃除を実施する。マップは最大10フロア分まで保存でき、掃除ごとにフロアを判別する。これにより、掃除場所への移動もより最適なルートで行うとともに、従来機種では困難だった部屋を指定した掃除も専用のスマートフォンアプリを用いることで可能となった。時間指定と組み合わせることで、自由度の高い掃除計画をユーザーに提供する。
iAdapt 3.0で収集されたフロアマップは「クラウドに暗号化して保存する」(アングル氏)とし、協業するパートナーと共同活用でスマートホームの実現に貢献すると明かす。スマートホーム化によって増えると予測される家事支援ロボットや、人を感知した照明、空調制御にはフロアマップの存在が不可欠であると主張した。
また、ルンバi7+では充電場所となるベースに自動ゴミ収集機能を持たせた「クリーンベース」が付属する。クリーンベースはルンバのダスト容器30杯分のゴミを自動で収集し密封式紙パックに排出するため、これまでルンバの稼働ごとに発生していたゴミ捨ての頻度低減やゴミ捨て時のほこり飛散の防止に貢献する。
公式オンラインストアによる直販価格は、ルンバi7+が12万9880円、ルンバi7が9万9880円(全て税別)。ルンバi7+は2019年3月8日、ルンバi7は2019年2月22日から販売開始となる。
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